コロナ禍の今ならそれほど違和感がないかもしれないが、観客がいない。しかし、この写真が撮影されたのは2013年。日本フェンシング協会が無観客試合にしていたというわけではなく、「無料でやってもこの有様」と太田氏は自虐的に話した。 太田氏が高校・大学時代に開催された大会にも、観客はいなかった。太田氏が日本フェンシング協会に「なぜお客さんがいないのですか?」と聞くと「オリンピックでメダルがないからだ。他の競技を見てみろ、オリンピックでメダルをとればお客さんでいっぱいになる」と言われた。若かった太田氏は疑問を持たず、2008年北京オリンピックでのメダル獲得を目指し練習を重ね、見事銀メダルを獲得した。 太田氏の活躍でフェンシングが注目され、その年の全日本選手権は多少お客さんが来たものの、他の競技のように観客で満席にはならなかった。再び協会に行って「なぜメダルをとってもお客さんがいないのですか?」と聞く