台湾高速鐵路。通称「台湾高鐵」。中国語の発音は「タイワンガオティエ」。英語では「タイワン・ハイスピード・レイル」。いざとなったら筆談に持ち込めるよう、これだけの情報を手帳に大きな文字で書き留めて、高鐵台中駅に向かう。 「ああ、新幹線(スィンカンシェン、と聞こえる)ね」と、タクシーの運転手。「あなたは日本人だから、新幹線を知っているでしょう。台湾では、新幹線といえば通じますよ」と言われて、すっかり拍子抜けした。 台湾高速鐵路は2007年に開業した“自慢の足”。最高速度は時速300キロ、台北駅と台湾第二の都市・高雄市郊外の左営駅を最速96分で結ぶ。新幹線の車両技術が世界で初めて導入された事例だ。 「顔が似ているでしょう。これは700T型という車両で、日本の700系の兄弟なんです」。ホームで撮影していると、若い女性駅員から声をかけられた。鉄道好きが嵩じてこの仕事に就き、新幹線に乗るために日本を訪