今年の将棋界では、藤井聡太竜王(19)が史上最年少の4冠に輝いた。昨年獲得した棋聖と王位の2冠を防衛した上で、叡王と竜王を立て続けに奪取した。特に王位、叡王、竜王は昨年まで6連敗と全く歯が立たなかった豊島将之九段(31)を下して獲得したもの。タイトル倍増劇や来年への期待について、本紙「ひふみんアイ」でおなじみ、加藤一二三・九段(81)に語ってもらった。【取材、構成・赤塚辰浩】 ◇ ◇ ◇ 藤井さんはタイトル戦という頂上対決をはじめ、トップレベルの対局を数多く経験して、より進化しました。目立ったのは、「試合運びのうまさ」。時間を使って形勢を判断し、局面を読んで終盤までの構図を思い描き、遠大な作戦を立てています。決め切れると思えば積極的に踏み込みますし、苦しいとみたら腰を落として粘る。実戦感覚がより洗練された感じです。 やはり、豊島さんという「天敵」の存在が大きかったでしょう。昨