日本人の写真家に、古屋誠一(ふるや せいいち、1950〜)という人がいる。 自殺した妻をテーマとした作品を制作する写真家である。 静岡県、現在の西伊豆町、宇久須生まれ。冷戦下のオーストリアに渡り、現地で出会った女性、クリスティーネと結婚。7年8ヶ月の結婚生活のすえ、精神のバランスを崩したクリスティーネは、アパートの階段から身を投げて自殺。 その後、生前の妻を被写体とした写真をもとに、作品を編み上げている。 自殺した人物を作品にする。 しかも、そのなかには、飛び降りた直後の遺体のカットさえ含まれている。 また、被写体となったクリスティーネをよく見ると、リストカット、そして首にも大きな傷跡が残っている。 これまでも、写真や美術の評論家により、古屋誠一について多くの批評がなされてきている。 しかし、今回、古屋誠一の旧作写真集を見返し、また、小林紀晴による伝記 『メモワール 写真家・古屋誠一との二