寺山修司は「平均すれば競馬で勝っていますか負けていますか」と問われ、「あなたの人生は、平均すれば笑っていますか泣いていますか」と問い返した。大橋巨泉は「競馬はロマンで見ろ、馬券は金で買え」と言った。彼らによって、ボクたちの競馬観は変わった。 競馬ファンには“馬券派”と“ロマン派”がいる。馬券派とは、ギャンブルなのだから馬券を当てなければ意味がないとするファン。ロマン派とは、ギャンブルの面だけでなく競走馬、血統、騎手、展開など、レースを構成するさまざまな要素にも注目し、ドラマとして競馬をとらえようとするファンである。 団塊世代には、ロマン派が多い。理由は二つ。一つは、彼らが競馬を始めたころにハイセイコー人気が沸騰したこと。“地方競馬”から“中央競馬”に乗り込み、1973年の皐月賞を制覇したハイセイコー。移籍当初から「怪物」「野武士」とマスコミは書き立て、判官贔屓の競馬ファンに感動物語を提供