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6月24日 政府は新成長戦略を閣議決定し、安倍晋三首相は「日本経済が持つ、ありとあらゆる可能性を開花させる」と会見で発言しました。 同時に公開された資料には90ページにわたり何百もの項目が盛り込まれています。中には良いアイデアもたくさん含まれていることでしょう。 しかし、2009年度の民主党マニフェストがどれくらい実現したかを振り返るまでもなく、提言の通りに制度をつくり施行するまでには様々な抵抗があり、結局、提言は実行されないことがほとんどです。 ですから、これほどまでに多くの項目を本当に実行できるのか? ということこそが真剣に検討されるべきです。 そして、そのためには、 「やることをどんどん増やす」のではなく「やらなくてもよいことを減らす」発想が必要だと私は考えます。 今回発表された成長戦略の中の1つに、「薬局を中心とした健康情報拠点推進事業」があります。 しかし、そもそも薬局とは、薬剤
突然こう言われたら、皆さんはどう思われるだろうか。おそらく、米国人の食料は十分のはずだと思うことだろう。しかし、米農務省による最新データ(2012年)では、6人に1人の米国人が慢性的に「飢えている」ことが明らかになっている。 では、次にこう言われたらどうだろうか。 「現在、米国人の36%は肥満体である」 こちらはどこかで聞いたことがあるだろう。米疾病予防管理センターの調査による数字だ。 さて、ここからがポイントなのだが、実はこの2つの統計に出てくる人たちは重なっている。米国では、飢えの恐怖に脅かされることと、肥満は同じ低所得者層での現象なのだ。常に飢えを感じながら、肥満による健康障害を患っているという人たちは珍しくない。その対策は困難で、複雑な社会問題となっている。 食料がないのではなく買うお金がない 米国の公的機関では「飢え(hunger)」という言葉を避け、「食料不足(food ins
問 今回は川嶋先生のご専門である腎臓病についてお聞きしたいと思います。腎臓病は糖尿病などの生活習慣病の増加によって増えているようですが、ここにも日本の医療制度の深刻な問題点が隠されているそうですね。 答 現在、人工透析を受けている人は日本全国に約30万人います。そして、その数は年間3万5000人ずつ増えている。その約40%の人が糖尿病の患者さんなのです。 糖尿病は万病の元と言われますが、コントロールがよければ人間の体に深刻な事態を引き起こすような病気ではありません。 しかし、糖尿病を放置しておくと、様々な合併症を誘発し、最悪の場合には死に至ってしまいます。 その1つが、糖尿病性腎症です。 ご存知のように腎臓は体の濾過器の役割を果たしています。体の中にたまった老廃物を濾過し、尿として体外へ排出しています。もし、その機能に問題が生じると、体の中に老廃物(尿毒素)や水分がたまり、尿毒症になって生
(英エコノミスト誌 2013年10月19日号) 科学研究は世界を変えてきた。今度は科学自身が変わる必要がある。 科学を支えているのは、「信用せよ、だが検証せよ」というシンプルな考え方だ。研究結果は、常に実験による検証を受けなくてはならない。そのシンプルだが強力な考え方が、膨大な量の知識を生み出してきた。17世紀に登場してからというもの、現代科学はこの世界を見分けがつかないほど、しかも圧倒的に良い方向に変えてきた。 だが、成功は時に自己満足を生む。現代の科学者は、過剰に信用しすぎる一方で、検証作業は十分に行わない。それが科学全体に、そして人類全体に損失をもたらしている。 今の学術界は、いいかげんな実験やお粗末な分析を基にした研究結果があまりにも多く氾濫している。バイオテクノロジー関連のベンチャーキャピタリストの間には、「公表された研究の半分は再現不可能」という経験則がある。それさえも楽観的か
慶応義塾大学医学部の近藤誠先生が書かれた『医者に殺されない47の心得』(アスコム)が医療関連本としては記録的な売り上げを見せているとのことです。 軽い風邪に抗生物質はいらないなど、賛成できる部分もあります。しかし、近藤先生の主張で一番インパクトがあるのは「がんもどき理論」でしょう。 症状がなく検査で見つかり手術で治るがんは癌ではなく“がんもどき”、なので放っておいても命には別状なし。本当の癌は転移を起こすので、手術や放射線や化学療法などでは治らない。それどころか、手術や抗がん剤などの治療を受けるだけ寿命を縮める。 これが「がんもどき理論」で、その結果、この本では「がん放置療法(がんは放置した方が楽に長生きできる)」を確立したと宣言しているのです。 もしもこの理論が正しければ、「癌の見落としで命を落とした」という医療訴訟は完全になくなります。なぜならば、その癌は“がんもどき”ではなく本当の癌
(英エコノミスト誌 2013年1月26日号) 磁気テープやハードディスクの代わりにDNAに情報を保管すれば、数万年でも保つだろう。 人工DNAに情報を保存したら・・・〔AFPBB News〕 最高のアイデアはすべてそうだが、このアイデアもパブで生まれた。 ケンブリッジ近郊にある欧州バイオインフォマティクス研究所(EBI)のニック・ゴールドマン博士とユアン・バーニー博士は、自分たちの研究グループが次から次へと生み出すゲノムデータをどうすればいいのか、思い悩んでいた。データはすべて保管しておかなければならないのだ。 EBIのデータ量の増加ペースは、データを入れておくハードディスク容量の拡大ペースより速い。「つまり保存にかかるコストは増加している。しかし予算は増えないのだ」と、ゴールドマン博士は言う。2人は、ビールを何杯か飲みながら、人工的に作ったDNAで、自然のDNAが生み出すデータを保存でき
ただ、前の会社で編集長になったとき、できる秘書がついたためにスケジュールをことごとく管理され、東京都内で最も人気の人間ドックに予約を入れられて、仕方なく健診に行かざるを得なくなったことがあった。 すでに40代の半ばにして、バリウムというものを飲んだのはこのときの1回だけである。 神様の思し召しか、しばらくしてこの美人秘書が結婚。彼女の夫のニューヨーク転勤で会社を辞めてしまったので、人間ドックや定期健診から再び逃れることができるようになった。 恐らく生まれながらに天邪鬼の性を両親から授かったのだろう。これが常識だと言われると間髪を入れずに反発したくなる。村社会の日本でははぐれ者だという認識は強い。 でも、そんなはぐれ者にも温かい日本は何て素晴らしいのだろうともこの歳になってつくづく思う。いまの日本には問題が山積みだけれども、決して悪いことばかりではない。 必ず解決策を提示してくれる人が現れる
世の中で「高学歴」とされる学生たちを見ていて思うことがあります。「正解のない問題」にぶち当たったとき、必ずしも答えを出すのが得意でない、という人を見かけるのです。 ある東大生のケース 東大教養学部で全学必修の授業を受け持っていた頃の話です。僕は頻繁に学生アンケートの類を取るのですが、その中で 「伊東教官は大変に怠惰な授業をする」という意見がありました。 僕が講義の準備などに一定以上時間や手間をかけるのは周知のことで、その授業もティーチングアシスタントたちと進めていたのですが、あまりに重症な病の回答でスタッフ一同「へぇ」と感心するやらあきれるやら。どんな回答かというと 「そもそも、授業というのは、教師が黒板に一つひとつ、問題と模範解答を板書するのが正しいのである・・・」 あたりに始まって、この子が経験してきた、主としてペーパーテストで○がつく受験勉強の1つのタイプを絶対化する趣旨のものでした
4月4日、米国の9つの医学会が「医師と患者が問い直すべき5つの項目」というリストを発表しました。これにより、基本的に不要な医療費の削減が可能になり、その削減額はなんと数兆ドル(!)に上るといいます。 米国家庭医学会(AAFP)が提示した例を見てみましょう。 「中等度の副鼻腔炎(いわゆる『蓄膿症』:鼻づまりや頭痛を起こす)に対して、1週間以上症状が続いている場合、または症状が軽快しかけたあとに悪化した場合を除いて、抗生物質を処方してはならない」 「進行性の神経学的な所見や骨髄炎を疑わせる所見がない場合、背部痛が起こってから6週間以内に写真を撮影してはならない」 これは、「中等度の蓄膿症は、1週間以上症状が続いているのでなければ、抗生物質は出しません」、そして「背中が痛くても、それが6週間以上続くのでなければレントゲン写真は撮りません」ということと、ほぼ同義です。 米国内科専門医認定機構財団が
店員がカウンターの上に数台の一眼レフカメラを並べて説明を続けている。 店員の話を聞いているのは、2歳ぐらいの小さな子供を連れたお母さんとおばあちゃんである。店員は手振り身振りを交えてカメラを操作してみせ、時にはお母さんにファインダーを覗かせたりしながら、使い方を説明している。 お母さんとおばあちゃんは、カメラに関してずぶの素人のようだ。きょとんとした顔をして説明を聞いているが、本当に分かっているのだろうか。見ていてこちらが心配になってくる。 もしも業務効率化のコンサルタントがこの店を見たら、「なんと非効率的なのか」と顔をしかめるに違いない。 買うのか買わないのか分からないような相手に、なぜそんなに時間をかけて対応しているのか。相手は素人なんだから、うまく説得してさっさと買わせるか、適当なところで話を切り上げてしまえばいいではないか。 それだけではない。店内を見渡すと、客が写真をプリントする
2008年の出来事の1つに蟹工船ブームがある。プロレタリア文学に属する小説『蟹工船』の作者で、官憲に虐殺された小林多喜二が共産党員であったことから、蟹工船ブームと同時に日本共産党も注目された。 日本共産党によれば、毎月1000人以上の入党者があり、そんな状態が20カ月続いたという。このことは、当時マスコミで大々的に報道された。 では、現在の共産党員は何人いるのか。党員数は2~3年に1回開かれる党大会で明らかにされる(25回党大会は2009年総選挙のため2010年に延期された)。 24回党大会(2006年1月) 党員数 40万4299人 25回党大会(2010年1月) 党員数 40万6000人 4年間の増減は「+1701人」。「毎月1000人以上の入党者」があった割には、ほとんど増えていない。 志位和夫委員長の発表によると、この間に3万4000人の新入党員を迎えている反面、1万6347人の物
なぜなら、福島第一原子力発電所で起きた今回の事故は、天災では決してなく、明らかな人災だからです。 福島第一原発を襲った津波は想定を超えていたと、よくテレビや新聞では伝えられています。NHKなどは「100年に一度の想定外の地震と津波」と、何度も何度も繰り返しています。これはいったい何なのでしょう。 想定外を繰り返すことで、国民にこれは避けられなかった災害であり国や地方自治体、東京電力には責任がないということを刷り込もうとしているのでしょうか。 でも、本当に想定外なのですか。今回よりも地震のエネルギーが大きかったスマトラ島沖地震が2004年に発生しています。この時のマグニチュードは9.3でした。今回の地震よりもはるかに大きかった。 この時、津波の高さは最も高かったところで49メートルだったと記録されています。今回、東北地方を襲った津波の高さは最大15メートルとようやく推定が出ました。津波に襲わ
書店でタイトルを目にした時、思わず唸ってしまった。 こともあろうに「経営の神様」とも称されるあのピーター・ドラッカーと、高校野球の女子マネージャーを組み合わせてしまうとは。一線を越えてしまったかのような、あまりにも型破りで大胆な発想に唖然とし、感服したのである。 なぜ、女子高生がドラッカーを読むことになるのか。読んで何をするのか。そして、一体何が起きるのか・・・。 頭の中に「謎」が次々と浮かび、アニメ風の表紙にちょっと気恥ずかしい思いをしながら、思わず手に取ってレジに向かった。そういう人は、おそらく私だけではないはずだ。 浮かび上がるドラッカーの偉大さ 小説仕立ての経営ノウハウ書は世の中に数多くある。例えば、『ザ・ゴール』(エリヤフ・ゴールドラット著)、『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』(林總著)などのベストセラーが有名だ。 本書も確かに小説仕立ての経営ノウハウ書なのだが、他
日本の家庭では、親が子供におこづかいを与える習慣が当たり前のように定着している。皆さんも親からおこづかいをもらって育ち、また、自分の子供にもおこづかいをあげているのではないだろうか。 だが、おこづかい制には「百害あって、利ほとんどなし」と唱える人がいる。資産活用や投資に関するセミナー講師、アドバイザーをしている小泉俊昭さんだ。 小泉さんは著書『かわいい子には「こづかい」をあげるな!』(大和書房)の中で、おこづかい制ではお金の大切さや使い方を学べない、だから子供におこづかいをあげるべきではない、と主張する。 いきなり聞くと極論のようにも思える話だが、お金に悩む大人たちを見続けてきた小泉さんならではの理由と確信がある。小泉さんが考える「おこづかい制の弊害」とは何だろうか。 ── どの家でも疑うことなく、当たり前のように子供におこづかいを与えています。「こづかいをあげるな」と言われても、にわかに
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