2011年は増税に明け暮れたという点で、日本歴史上まれな年である。菅直人前政権が消費税増税の準備に取りかかっていたときに東日本大震災に見舞われたが、菅氏が復興計画そっちのけで持ち出したのが復興増税案だ。そっくり引き継いだ野田佳彦首相は年内の消費税率引き上げ案総仕上げで頭が一杯だ。 増税は消費と投資を萎縮させデフレを助長する。デフレはさらなる円高を招く。企業は国内投資をあきらめ、海外に出る。若者の雇用機会が失われる。恐るべきことに、メディア多数も増税がもたらす悪循環に無関心だ。 閉塞状況をどう打破するか。要は、増税至上主義の官にからめとられた政治とメディアを正気に返らせることだが、少数派の口舌だけではどうにもならない。 そんなときに、日本経済研究センター理事長の岩田一政氏が、円高是正に向けて日銀が50兆円規模の外債を購入する「金融危機予防基金」の創設を政府の国家戦略会議で提案した。日銀