2010/10/127:0 尖閣諸島問題と日本の世論 高原基彰 今さらいうまでもないのだが、9月7日に起きた尖閣諸島沖の漁船と海上保安庁巡視船の衝突事件以来、日中関係がぎくしゃくしている。中国語のネットでは、日本に対する強硬姿勢を煽る文言が、各種の掲示板を埋めている(ツイッターのような特殊な場所では、それに収まらない冷静な意見も散見される)が、2005年の反日デモのときのような、ネット世論と政権との緊張関係はさほど感じられない。 反日デモや、オリンピック聖火リレーに際した対仏感情の悪化などの際は、ネット世論に象徴される「下から」の過激な感情の発露を、政権の側が過度に行き過ぎないよう、一応の配慮をみせつつ抑制を試みる、というパターンを基調としていた。だからこそ、ネット世論と政権の方針との間には対立関係が形成されることもあった。 今回はこのパターンとは少し違い、政権の側が、国際社会に尖閣諸島が