虫による浸食で消滅の危機にある島 民話に語り継がれてきた瀬戸内海の美しい島が、大量の虫に“食われて”海中に水没する危機に直面している。広島県安芸津町の沖に浮かぶホボロ島だ。1956年発行の地図によれば、この島の標高は22m、長さは120m、幅は25mあった。ところが50年後の現在は、大潮の満潮時ともなれば、海面に高さ6mの岩だけが顔をのぞかせる程度まで縮小した。 島を浸食している犯人は、ナナツバコツブムシという体長約1cmの虫。風雨や波で風化してもろくなった島の凝灰岩を、下あごの硬い歯でかみ砕き、巣穴を掘って生きている。沖村雄二・広島大学名誉教授によれば、その数は「1000万匹にも上る」と推測する。