痴漢容疑で警視庁の事情聴取を受け、直後に自殺した私大職員、原田信助さん=当時(25)=の母、尚美さんが、自白誘導などの違法捜査で人権を侵害されたとして、東京都に1千万円の国家賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が14日、東京地裁(相沢哲裁判長)であり、都側は争う姿勢を示した。 意見陳述で、尚美さんは「人間として、親として許すことはできない。これ以上、息子のような被害者を出してほしくないと心から願う」と訴えた。 訴状などによると、原田さんは平成21年12月、JR新宿駅構内で女子大生の腹をさわったとして警視庁新宿署の事情聴取を受け、直後に地下鉄東西線の早稲田駅ホームから飛び込んで死亡した。 事情聴取を録音した遺品のボイスレコーダーには、原田さんが痴漢行為を強く否定する様子が収められていた。同署は22年1月、原田さんを都迷惑防止条例違反容疑で書類送検し、東京地検は被疑者死亡で不起訴とした。