『ボーダー 移民と難民』(佐々涼子 著)集英社インターナショナル 2021年3月、名古屋の入管施設に収容されていたスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさんが死亡した事件は記憶に新しい。留学生だったウィシュマさんは同居人からのDVが原因で通学できなくなり在留資格を失った。収容され死亡するまでの半年間で彼女の体重は20キロも落ちていた。入管は体調不良を訴え嘔吐を繰り返す彼女に適切な治療をせず、結果的に死に至らしめたのだ。 件(くだん)の報道に触れたとき、現代の日本でこんな非人道的なことが行われていたのかと、驚くとともに怒りを覚えたのは私だけではないだろう。 しかし入管施設で死亡した外国人はウィシュマさんが初めてではない。たとえば牛久の入管施設では、2014年にカメルーン人男性が、2017年にベトナム人男性が、それぞれ死亡している。 入管施設に収容される人の中には、DV被害者だったウィシュマ