かつて“和製ベッカム”と称された男は今、少年たちの夢に真剣に向き合っている。 佐藤由紀彦(さとう・ゆきひこ)さんは1976年5月11日、サッカー王国静岡に生まれた。清水商業高校時代に選手権、総体、高円宮杯、国体と高校年代すべての主要大会で優勝を経験し、この世代のスター候補として注目を浴びた。 正確無比な右足のキックを武器に、95年に地元の清水エスパルスに加入する。だが将来を嘱望されたアタッカーは壁に突き当たった。清水に在籍した3シーズンでリーグ戦に出場したのは2試合のみ。98年には当時JFLのモンテディオ山形に期限付き移籍を果たす。 そこでアタッカーとしての才能をあらためて開花させると、以降、FC東京、横浜F・マリノス、清水、柏レイソル、ベガルタ仙台、V・ファーレン長崎といくつものクラブを渡り歩いた。FC東京に在籍していた01には、縦への推新力とクロスの精度を買われ、日本代表候補にも選出さ