もう、本当、酒やめたい。大学行くはずだったけど、頭痛くて全部パアだよ。 座椅子に座ったらもう動けない。ヒルナンデス見てたんだ。RIKAKOってホント胡散臭いよな。そしたら母親がフジテレビに回した。真中瞳が主演の昼ドラだった。今、名前違うらしいけど、もう覚えらんないよ、そんなモン。 そうして俺は返さなきゃいけない本の存在を思い出す。市の図書館には井上光晴の「黒繩」と「似た女 想う男」で大学にはシオランの「生誕の災厄」っていう具合に。どっちにも行きたくなかった。このまま座椅子にズブズブと沈んで行って、そのまま息を引き取りたい。…… でも、このままだと堕落の極みだったし、二日酔いだって歩けば治るかもしんないよって自分に言い聞かせる。俺の人生なんて既に終ってるけど、何やかんや、そう、何やかんやはやろうや、図書館には行こうよってさ。俺は立ちあがって上着をきて、鞄を持って出かけようとする。そんな時に母