ブックマーク / knakayam.exblog.jp (9)

  • 検察の証拠隠し | 中山研一の刑法学ブログ

    最近また、再審で冤罪事件であったことが発覚するケースが相次いでいます。「足利事件」については、すでにたびたびマスコミにも報道されましたが、それは有罪の決め手になったはずのDNA鑑定の精度が低く、新しいDNA鑑定でくつがえってしまうという歴然としたもので、検察官も誤りを認めざるを得ず、ではなぜ被告人が「嘘の自白」をしたのかという形で「捜査への疑問」が集中することになりました。裁判所と検察庁は謝罪しましたが、違法な取調べをし、誤った有罪判決をした者の責任と、その原因解明にはまだメスが入っていない状況です。 一方、「布川事件」は、2度目の再審請求によって、ようやく最高裁もかつての有罪判決(無期懲役)の誤りを認めて再審公判が開始されることになったのですが、ここでは検察官は、DNA鑑定のような、これのみで被告人の有罪認定をくつがえす決定的な新証拠はないとして、再審公判でも争う姿勢を崩していません。

    検察の証拠隠し | 中山研一の刑法学ブログ
    kodaif
    kodaif 2010/03/14
    "受けることなどなかったといえるでしょう。裁判員裁判になって、検察官の「証拠開示」が進んだといわれていますが、検察官手持ちの証拠の「全面開示」こそが必要であることを、冤罪事件は示しているのです。"
  • 不当拘禁の問題 | 中山研一の刑法学ブログ

    小野清一郎博士の戦前の古い時期の研究業績の中に、「不当拘禁の問題」という論稿があることを発見しました(法律時報2巻11号、昭和5年)。「日法理」に至る過程の中にあっても、いまだリベラルな時代状況下では、東京帝国大学の教授が当時の刑事司法手続、とくに警察権の濫用をきびしく戒めた論稿が存在していたことを改めて想起しておく必要があるでしょう。 この論文で、小野博士は、近時(昭和5年当時)労働運動ないし共産主義運動に関連する検挙において警察権が濫用され、不当拘禁、さては××(伏字)に近い暴行・陵虐の風評を聞くことは憤懣に堪えないところであるといわれ、警察署長による「違警罪即決例」と行政執行法による(公安を害する虞ある者に対する)「検束処分」の濫用をきびしく批判された後、とくに以下の3点を指摘されていました。 第1は、捜査機関が行う「取調べ」に関してですが、被疑者がその取調べに任意に出頭し、任意に

    不当拘禁の問題 | 中山研一の刑法学ブログ
    kodaif
    kodaif 2010/01/17
    "戦前の「違警罪即決例」や行政的な「検束」処分は、戦後廃止されましたが、密室での「取調べ」や「代用監獄」の問題は、その後80年を経た現在もまだ続いていることを忘れてはならないと思います。"
  • 医療観察法の見直し論議 | 中山研一の刑法学ブログ

    2003年に成立し、2005年から施行されています「心神喪失者等医療観察法」については、5年後の見直しを前にして、その運用状態についての評価が行われていますが、何よりも当初から懸念されていた指定入院施設の整備が一向に進まず(720床の予定が450床)、そのこととも関連して、当初予定されていたよりも入院決定が少なく(約57%)、むしろ通院決定が比較的多い(約17%)というのが現状です。しかしその結果は、むしろ通院医療が一般の精神医療とつながり、これに包摂される可能性を示唆しているともいえるでしょう。 ところが、裁判所の判例は、医療観察法上の措置を優先し、これを「触法精神障害者」対策として特化することによって、むしろ一般の「精神保健福祉法」との連携を妨げる方向にあることが懸念されます。それは、「医療観察法」の由来をかつての「保安処分」論議に引き戻し、立法時の国会における「修正」の意義を過小評価

    医療観察法の見直し論議 | 中山研一の刑法学ブログ
    kodaif
    kodaif 2010/01/11
    "その存在すら指摘されず、これに対応する学界の意見(私見を含む)も全く無視されていることのほか、わが国の「精神医療一般」の極めて貧困な状態の抜本的改善という最も大事な提言も見出せない"
  • オランダの安楽死 | 中山研一の刑法学ブログ

    去年の暮れから正月3ヶ日まで、ペーター・タック著、甲斐克則編訳『オランダ医事刑法の展開―安楽死妊娠中絶・臓器移植』(2009年、慶応大学出版会)の書評の原稿を書く仕事に集中し、1月4日に終了して、原稿を送りました。今年の初仕事です。 オランダの安楽死については、すでに日でも多くの紹介がありますが、妊娠中絶や臓器移植の問題を含めて、いわゆる「オランダ方式」の特色をまとめたところに書の魅力があります。タック教授は、随一の知日派で、日にも親交のある学者が多く、私自身もかつてタック教授の著書を共訳したことがあります(タック『オランダ刑事司法入門』2000年、成文堂)。 書でタック教授は、オランダでは安楽死法(2001年)で事実上「殺害を認可」したものであるという一般の評価が偏向した「誤解」に基づくものであることを証明するために、オランダにおける安楽死の長い論議の過程を丹念にフォローし、判

    オランダの安楽死 | 中山研一の刑法学ブログ
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    kodaif 2010/01/05
    "フォローし、判例と立法の内容を詳細に分析されています。しかし、それにもかかわらず、なお理論的にはすっきりしない部分が残されているところに、むしろ「オランダ方式」の特色があるように感じられるのです。"
  • 業務上過失致死傷罪と危険運転致傷罪 | 中山研一の刑法学ブログ

    交通事故によって被害者に死傷の結果が発生しますと、従来は「業務上過失致死傷罪」(刑法211条)が適用されていましたが、平成13年(2001年)に「危険運転致死傷罪」(208条の2)が新設されましたので、悪質で危険な運転行為から死傷の結果が発生したときは、一挙に重く罰せられることになりました。 その中には、「アルコール・薬物運転型」と「信号無視型」と「通行妨害型」の3つがありますが、とくに最近、「妨害型」の危険運転致死傷罪に関する同様な2つの事件が現在最高裁に係属中であることが分り、その帰趨に注目すべきことを指摘しておきます。 大阪のケースでは、自動車がバイクと並進中に幅寄せをしたこと、そして東京のケースでは自動車がバイクの直前に進入後に狭い間隔で並進したことを危険な妨害行為とした上で、いずれも妨害行為の故意と妨害目的が「推認」されると、1.2審では認めました。 しかしそこには、大きな落とし

    業務上過失致死傷罪と危険運転致傷罪 | 中山研一の刑法学ブログ
    kodaif
    kodaif 2009/12/13
    "「危険運転致死傷罪」で起訴されると、法が定めた危険行為の「類型」に当てはまれば結果との「因果関係」があるとされ、さらに「故意」と「目的」もほとんど「推認」されてしまうというパターンに至るおそれが"
  • 瀧川ゼミ生の会(5回目) | 中山研一の刑法学ブログ

    毎年12月の日曜日に開催してきました瀧川ゼミ生の会は、今年は第1日曜の12月6日に、昨年と同様、私の入居しています高齢者用マンションで開催しました。11月下旬には中学のクラス会を開いたばかりで、昔懐かしい同級生との再会の機会が続いています。 京大法学部の瀧川ゼミ生の会は、私どのもクラスを除いて行われたことを聞いたことがありませんので、今となっては貴重な存在として残っているといってよいでしょう。瀧川幸辰先生の下で刑法の研究者となられた方々も、今ではほとんど亡くなられ、先生と直接に面識のあった人も数少なくなっていますので、直接に先生の刑法の講義を聞き、試験を受けて採点してもらい、最終学年に刑法の瀧川ゼミ生として1年間、毎週一回、先生のご指導を受けたという体験は、貴重なものだったと思わずにはいられません。 15名のゼミ生のうち、2名を除いては連絡がついていたのですが、今年は10名しか返信がなく、

    瀧川ゼミ生の会(5回目) | 中山研一の刑法学ブログ
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    kodaif 2009/12/07
    "直接に先生の刑法の講義を聞き、試験を受けて採点してもらい、最終学年に刑法の瀧川ゼミ生として1年間、毎週一回、先生のご指導を受けたという体験は、貴重なものだったと思わずにはいられません。"
  • 亀岡の出雲大神宮 | 中山研一の刑法学ブログ

    12月4日に、知人に誘われて亀岡まで行った際、亀岡市の山手の郊外にある「出雲大神宮」を訪問する機会がありました。京都から山陰線で3-40分程の近い距離にあるのに、初めての乗車体験で、多くのトンネルを抜けた車窓からは、嵐山や保津峡の渓谷が見られ、まだ付近には紅葉が残っている晩秋の美しい景色を見ることができました。ただし、当日の空模様は変わりやすく、小雨後の曇り空で、コートを着ていても少し肌冷えのする天気でした。 JR亀岡駅からは、バスで20分くらいのところで出雲大神宮前の停留所を降りると、もうすぐに参道につきましたが、露天のみやげ物屋が一軒あるだけで、参詣者の姿はほとんどなく、閑散とした静けさに包まれていました。 受付にいた若い宮司さんに案内してもらって、神社の中を案内してもらいましたが、殿のほかに、いくつかの関連した施設が背後の御陰山の裾野の中に点在しており、「みかげの滝」からは「神水」

    亀岡の出雲大神宮 | 中山研一の刑法学ブログ
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    kodaif 2009/12/05
    "参詣者の姿はほとんどなく、閑散とした静けさに包まれていました。" "この老宮司の話がきわめて庶民的でユーモアがあり、縁結びの神様に仕える宮司として出色だというのが、率直な印象として残りました。"
  • 公訴時効の延長・廃止問題 | 中山研一の刑法学ブログ

    「公訴時効」とは、犯罪の発生後一定の期間の経過によって、それ以上公訴の提起を許 さない制度のことをいいます。その期間を過ぎますと、時効が完成し、手続が打ち切られ ます(免訴の判決)。この古くから認められてきた制度が最近揺れてきています。 それは、とくに「全国被害者の会」(あすの会)を中心とした被害者運動からの影響で、 被害者の立場からすれば、とくに殺人の被害者である遺族の感情が時の経過によって薄 れることはあり得ないので、殺人罪の時効は撤廃すべできであるとさえいわれるのです。 そして現に、そのような被害者の声を反映して、2005年には公訴時効の期間が延長され たのですが(たとえば、死刑にあたる罪については、15年から20年に)、それでも足りない として、再延長や廃止まで主張されるようになってきているのです。 この問題については、法務省は肯定的で、2009年5月の省内勉強会を経て、9月の前法

    公訴時効の延長・廃止問題 | 中山研一の刑法学ブログ
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    kodaif 2009/11/30
    "「被疑者」のための制度であって、「被害者」のための制度ではないという点であり、時の経過によって起訴理由が減少し時効期間の経過によって国家の刑罰権を発動するために必要な「訴訟条件」が欠けることになる"
  • Penal Populism | 中山研一の刑法学ブログ

    「ポピュリズム」とは、来は、庶民大衆の実感を重視して政治を動かして行こうとする手法をいい、かつては民衆主義、人民主義といわれて、エリート主義の批判という側面もありましたが、今日では転じて「大衆迎合主義」の意味にも使われています。 最近では、犯罪に対する「厳罰化とポピュリズム」の関係が問題とされ、現に国際的規模における格的な比較研究の業績が注目されています(『グローバル化する厳罰化とポピュリズム』日犯罪社会学会編、2009年)。その中心的な指摘を引用しておきます。 「Penal Populismとは、『法と秩序』の強化を求める市民グループ、犯罪被害者の権利を主張する活動家やメディアが、一般市民の代弁者となり、政府の刑事政策に強い影響力を持つようになる一方で、司法官僚や刑事司法研究者の意見が尊重されなくなる現象である」。「犯罪や刑罰の議論において、社会科学における研究成果よりも、むしろ個

    Penal Populism | 中山研一の刑法学ブログ
    kodaif
    kodaif 2009/11/25
    "とくに日本における厳罰化の傾向について、実際には犯罪が低い水準にあり、増加していないにもかかわらず、死刑や無期刑が増加し、刑期が長期化している国として国際的にも注目されているという状態にあります。"
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