<子安宣邦(こやすのぶくに):大阪大学名誉教授> 私の批判への島薗氏による卑小な反論に釣られて卑小な回答の言葉を連らねる愚を避けて、端的にまず私の「怒り」の理由をのべよう。 現在、「国家神道」をめぐる問題があるとすれば、「国家神道」概念の見直し論としてある。この見直し論とは、アメリカの対日占領政策にもとづくいわゆる神道指令が廃止を指示した国教としての神道、すなわち「国家神道」の定義の見直しを要求するものである。神道指令はこの「国家神道」を「非宗教的ナル国家的祭祀トシテ類別セラレタル神道の一派(国家神道或ハ神社神道)ヲ指スモノデアル」と規定している。したがって見直し論はこの規定中にある神社神道の側から、「国家神道」概念の見直すことの要求として出されてきた。 だがこの見直し論は、ただ「国家神道」概念の見直しを求めるだけのものではない。現行憲法を占領軍の押しつけとして、それを見直し、自主的な改訂