夫婦2人きりで山元町の仮設住宅に暮らす渡辺惣一さんとキネコさん=宮城県山元町の仮設住宅で、前田洋平撮影 残るべきか、去るべきか。東日本大震災で津波被害を受けた宮城県南部の山元町のイチゴ農家、渡辺惣一さん(76)一家7人が揺れている。惣一さんは被災した自宅で再び暮らす日を町内の仮設住宅で待つが、職場がある仙台市に避難した長男一広さん(52)は仙台に腰を据えたい。通勤手段のJR常磐線再開が見通せず、一広さんのような現役世代は町を去りつつあり、「老人ばかりになってしまう」との声があがる。【前田洋平】 「もう、あの土地には住めねえ。危険な場所なんだ」「2階部分がしっかりと残っている。住める」 町の復興基本方針の住民説明会があった今月3日、内陸移転を促す地域に自宅周辺が指定されることを知った一広さんが切り出すと、惣一さんは反論した。津波に洗われた自宅や700坪のイチゴ畑は海から約200メートル。その