「うちは薄利多売のビジネス」と原田泳幸CEOは断言する。それをマクドナルドが世に知らしめたのは、210円だったハンバーガーを100円に値下げした1994年のことだ。この思い切った値下げによって、販売数が一挙に20倍も増えたという。 円グラフ(下部参照)の左側をご覧いただきたい。94年当時、210円で売られていたハンバーガーのコスト・利益の内訳である。原材料費57.5円、社員人件費40.7円、店舗賃借料21.0円、その他販売管理費66.6円などコスト計197.1円に対し、営業利益はわずか12.9円だ。110円も値下げして、儲けはどこから出てくるのか。その秘密は、固定費と変動費にある。 変動費とは、肉代・パン代といった売り上げに比例して動くコストのこと。固定費とは人件費・店舗賃借料など、必ず発生する決まった額のコストのことだ。 この図から、ハンバーガーは、固定費率が高く、変動費率の低い商
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気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン 前回のコラムでは、日本の経済成長を陰で支えてきた中小企業の生き方を、大企業はもっと学ぶべきだと指摘しました。今回はもう少し具体的な例を挙げながら、中小企業のお話を続けてみたいと思います。 最近の大企業の経営が、デジタルな発想に偏ってきていることは、以前にも指摘した通りです。事実、四半期という短期的な決算に一喜一憂し、数値的なデータを重視する米国流の経営が一般的になっています。それを全面的に否定するわけではありませんが、行き過ぎを是正して「アナログ経営」に少し針を戻す時期に来ているように思えてならないのです。 デジタル一辺倒で「創造」を忘れるな そんなアナログ経営の1つのモデルが、実は中小企業にあります。 デジタル化が進む大企業では、数値化され
ソフトウエア・エンジニアリングのリーダーの一人、エド・ヨードンは1992年に、『Decline and Fall of the American Programmer 』を著し、米国のソフトウエア産業の衰退と挫折を警告した。この本を出す少し前まで、彼は「この国が危ない(A Nation at Risk)」というタイトルで講演行脚をしており、同書はそれをまとめたものである。 この本の中で、ヨードンは日本をソフトウエア開発における優等生の一人として挙げ、インドの飛躍を予見している。本が書かれた時点では、インドのIT産業はまだ黎明(れいめい)期にあったが、彼の予想通り、現在は英語圏で質の高いソフトウエア開発力が得られる国として、欧米から頼られる存在になり、IT立国を目指す他のアジア諸国からお手本と見なされるまでになった。 「この国が危ない」というヨードンの警告に触発されたのか、米国上院の「米国の
昨年から藤代さん@ガ島通信に誘われて参加していた情報ネットワーク法学会の分科会の1つ、「デジタル・ジャーナリズム研究会」が、先週の土曜日にとりあえず一段落した。とか言って、実は昨年5月から7月ぐらいまでの何回かと、昨年末の学会でのパネルディスカッションに出た以外はほとんど顔を出さなかった僕が言うようなセリフじゃないですね、「とりあえず」とか(笑)。お前が何やったんだよ、と怒鳴られそう。 で、最終回のテーマは「ジャーナリズムと経営」ということだったらしい(らしい、というのは、所用で参加が1時間弱遅れて、前半の議論にほとんどついていけなかったから)。実はどうやら僕に司会みたいな役割が期待されていたらしいのだけど、遅れて行ってみたら既に別の人が司会役をやらされていて、僕は最後までまったく何の役にも立たなかった。まったくもって使えねえ奴でございます。 最初の回で「ジャーナリズムの定義」というテーマ
(The Economist Vol 379, No. 8477 (2006/5/13), "Flat-Pack Accounting," pp. 59-60) 山形浩生訳 (hiyori13@alum.mit.edu) ゲイツ財団なんか忘れよう。世界最大の慈善団体はイケア (IKEA) の所有者でもある――そしてインテリアデザインにご執心だ。 イケア (IKEA) で買った組み立て式家具を組み立てるほど頭にくる作業はなかなかない。だが、この世界最大の家具小売企業の会計を連結するのに比べれば、家具の組み立て作業ですら簡単なものだ。イケアの実に見事な小売り方式については、すでにいろいろ文献がある (訳注:かなりぬるいが「イケアのローコストの秘密」などをどうぞ)。弊誌は、それに負けず劣らず驚異的な同グループの財務について調べてみた。 そこから見えてくるのは、各国の法制度のちょっとした歪みを抜け
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