日本経済はこれまで何度も難しい問題に直面してきた。そんな時、それまで誰も考えたことのないような奇抜な政策が提案されることがある。そのアイディアをひねり出した方々の苦労は大いに多とするのだが、私はこうした奇抜策の多くは失敗だったと考えている。 私がここで「奇抜だ」と評価している政策は、一般的な評価ではなく、私の個人的な評価である。要するに経済学に基づいたロジックに基づかない思い付きだと私が判断した政策である。その上での私の結論は、やはり経済学の正統的な議論から外れた奇抜策に期待するのはやめた方がいいというものだ。 私がこうした奇抜策を目にした最初のものは、1994年の羽田内閣が打ち出した「実質所得倍増計画」なのだが、これについては、本連載第72回「物価問題のパラダイム転換(下)実質所得倍増計画」(2019年8月)で書いたので、ここでは触れないことにして、奇抜策第2弾の地域振興券について述べる