大切な存在を亡くした時、誰もが一度は「奇跡が起きて生き返ってほしい」、そんな非科学的な願望をもつものだろう。死とはそれほどに受け入れがたい深い悲しみであり、今日の科学・医学の目覚ましい進歩を見れば、近い将来生き返りも可能になるのではないかと思ってしまう。 亡くした存在が最愛の我が子ともなれば尚更だ。出来得る限り、考え得る限りの可能性にすがりたいのも察するに余りある。今回のケースはまさにその最たるもの。タイの2歳の女の子の両親は、亡くした娘の遺体を冷凍保存する道を選んだのだ。 ・若年者特有の脳腫瘍と診断された2歳の女の子 今回、アメリカの団体「アルコー延命財団」によって冷凍保存されたのは、2015年1月に亡くなったタイの2歳の女の子、マセリンちゃんだ。マセリンちゃんは、2014年4月、原始神経外胚葉性腫瘍(PNET)という悪性の脳腫瘍と診断されて以来、12回に及ぶ手術や化学療法・放射線療法を