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ブックマーク / huyukiitoichi.hatenadiary.jp (45)

  • 「そもそも食べすぎず、食欲を抑える」ためにはどうしたらいいのか?──『肥満の科学: ヒトはなぜ太るのか』 - 基本読書

    肥満の科学 ヒトはなぜ太るのか 作者:リチャード・J・ジョンソンNHK出版Amazonとにかく現代は太りやすい時代である。べ物は安くてカロリーの高いものがいくらでもあり、そのうえおいしいので、ブレーキがないといくらでもべてしまう。ラーメン、焼き肉、生クリームがたっぷり乗ったアイス。シーズンごとにスタバの新作も出て──と、気を抜くと現代の人間はぶくぶくと太ってしまう。 現在アメリカでは人口の30〜40%が肥満(BMI30以上)で、10〜12%が糖尿病だという。日ではBMI30以上の肥満者は4.5%だが基準を少し下げてBMI25以上でみると、20歳以上で男性33.0%、女性22.3%(厚生労働省「国民健康・栄養調査報告」による)である。そのため多くの人がダイエットに励み、糖質制限から16時間断まで数々のダイエット法が出てくるわけだが、そうそう簡単にうまくいくものでもない。 で、書『肥

    「そもそも食べすぎず、食欲を抑える」ためにはどうしたらいいのか?──『肥満の科学: ヒトはなぜ太るのか』 - 基本読書
  • 早川書房の2700作品が50%割引の大型電子書籍セールがきたので、SF・ノンフィクションの新作を中心にオススメを紹介する - 基本読書

    早川書房の2700作品が最大50%割引という電子書籍セールが来たので、僕が読了済みのものからオススメを紹介しよう。早川書房は定期的にこの規模のセールをやることで知られているが、そのたびにラインナップが異なる。特に、前回のセール時には対象ではなかった最新の作品なども今回は多数セールに入っているので、今回は主に2022年10月〜23年4月頃に刊行された新作を中心にオススメを紹介していこう。 今回はざっと見ていたがセール対象の作品数も多いし、23年4月のまだ新刊ほやほやといえる作品までセールラインナップだしで充実した内容になっている。そのため、いつもより文字数&作品数増量で紹介しよう。下記はリスト。 amzn.to まずはSFから 三体0【ゼロ】 球状閃電 作者:劉 慈欣早川書房AmazonまずSFの目玉といえるのが劉慈欣の伝説的な中国SF三部作《三体》の前日譚長篇である『三体0 球状閃電』。前

    早川書房の2700作品が50%割引の大型電子書籍セールがきたので、SF・ノンフィクションの新作を中心にオススメを紹介する - 基本読書
  • 弾圧が行われているとされる新疆ウイグル自治区で、実際に何が行われているのか?──『AI監獄ウイグル』 - 基本読書

    AI監獄ウイグル 作者:ジェフリー・ケイン新潮社Amazonこの『AI監獄ウイグル』は、近年弾圧が激しくなっているとされるウイグルで、実際に何が行われているのか、150人以上のウイグル人の難民、技術労働者、政府関係者、元中国人スパイにインタビュー取材をしその結果をまとめた一冊になっている。 書で描き出されているのは、チャットアプリによるメッセージや電話がすべて監視され、家の前には個人情報が詰まったQRコードが貼られ、身体情報から移動履歴などすべてのデータを元に犯罪を起こす可能性のある人物をAIが自動的にピックアップする「デジタルの牢獄化」したウイグルの姿である。これまで、断片的なニュース情報を読むことでウイグルで相当なことが行われていることはわかっていたつもりだったが、実際に収容所などを体験した人物のレポートはあまりにも衝撃的だ。 読み終えた夜は、自分が強制収容所に入っている悪夢を見たぐ

    弾圧が行われているとされる新疆ウイグル自治区で、実際に何が行われているのか?──『AI監獄ウイグル』 - 基本読書
    koonya
    koonya 2022/01/23
    イスラム諸国がだんまりなのが謎なんだよね
  • 2021年に刊行され、おもしろかったノンフィクションを振り返る - 基本読書

    2021年も終わろうとしているので、今年刊行されたの中でも特におもしろかった・記憶に残ったノンフィクションを振り返っていこうかと。昨年に引き続き今年もの雑誌の新刊ノンフィクションガイドを担当していたので、冊数はノンフィクションだけで200冊ぐらいは(数えているわけではないけど)読んでいるはず。 とはいえ、無限にピックアップしても仕方ないので、10冊目安に紹介していこう。 まずは科学書から 彼らはどこにいるのか 地球外知的生命をめぐる最新科学 作者:キース・クーパー河出書房新社Amazon科学系のノンフィクションの中でも宇宙系から取り上げていくと、まず紹介したいのはキース・クーパーによる『彼らはどこにいるのか: 地球外知的生命をめぐる最新科学』。今年は中国最大のファーストコンタクトSF『三体』三部作が完結し、年末に邦訳が刊行されたアンディ・ウィアー最新作もファーストコンタクトSFの傑作で

    2021年に刊行され、おもしろかったノンフィクションを振り返る - 基本読書
  • 世界2900万部超えの怪物中国SF三部作、ついに完結──『三体』 - 基本読書

    三体Ⅲ 死神永生 上 作者:劉 慈欣早川書房AmazonSFとしてはこの10年で最大の話題作である、作家劉慈欣による『三体』。その三部作が、先日刊行されたばかりの『三体III 死神永生』(ししんえいせい)でついに完結! 中国国で大いに盛り上がり、その後ケン・リュウによる英訳で米国を中心とした英語圏で大ヒット。日でも第一部が刊行されるや否や話題に火がつき、SFとしてはありえないような話題と部数が出た──と、国内外問わずその部数だけみても化け物級の力を持った作品だが、重要なのは部数より作品のおもしろさ、それ自体である。 寂寥感を覚えるほどの傑作 どれだけ部数を重ねようがおもしろさはどうだろうかという作品もあるわけで、作はどうなのよという話になってくるわけだけれども、これについてはもう何の疑いもなく、傑作であると断言することができる。それも、人生にそう何冊も訪れることのない、記念碑的な傑作

    世界2900万部超えの怪物中国SF三部作、ついに完結──『三体』 - 基本読書
  • 外科手術時の消毒の重要性を提唱し医療を一変させた偉人の生涯──『ヴィクトリア朝医療の歴史:外科医ジョゼフ・リスターと歴史を変えた治療法』 - 基本読書

    ヴィクトリア朝医療の歴史:外科医ジョゼフ・リスターと歴史を変えた治療法 作者:リンジー・フィッツハリス発売日: 2021/01/23メディア: 単行この『ヴィクトリア朝医療の歴史』はその名の通りの一冊なのだけれども、「ヴィクトリア朝」は、医療史を少しかじっていると「おっ」と思う時代である。ここで、それまでの医療と比べて、特に外科手術の際の医療のレベルが跳ね上がったからだ。 それ以前は医療現場はどのような状態だったのかといえば、麻酔がないので腕や足を切断する時はノー麻酔で患者は激痛をこらえながらだったし、医師は患者の苦痛を少しでも抑えるため一秒でも早く作業をすることが求められていた。細菌感染の概念もないから、別の患者を処置したメスや手を洗わずに次の患者の処置を行い次々と院内感染が広がっていて、化膿による敗血症から患者は次々死んでいく。足を切断するためにノコギリを入れたが途中ではさまって抜け

    外科手術時の消毒の重要性を提唱し医療を一変させた偉人の生涯──『ヴィクトリア朝医療の歴史:外科医ジョゼフ・リスターと歴史を変えた治療法』 - 基本読書
  • 寿命が短くなっていく国アメリカで何が起きているのか──『絶望死のアメリカ――資本主義がめざすべきもの』 - 基本読書

    絶望死のアメリカ――資主義がめざすべきもの 作者:アン・ケース,アンガス・ディートン発売日: 2021/01/18メディア: Kindleアメリカでは今、絶望死が増えている。絶望死とは、アルコールや薬物依存による死亡、自殺の死因をまとめたもので、45歳から54歳の白人男女による絶望死は、90年には10万人中30人だったのが、17年には10万人中92人まで増えた。自殺率も、アルコール性疾患による死亡率も、薬物の過剰摂取による死亡率も増加している。 20世紀から21世紀にかけて、糧事情も改善し医療の発展があったこともあって、死亡率は改善されてきた。アメリカでも、45〜54歳の白人が心臓病で死ぬリスクは、80年代までは年平均4%で落ちていた──が、90年代には2%に鈍化、00年代には1%にまで落ちて、10年代からは逆に上がり始めた。ここでは中年の白人に限定しているが、若年層の絶望死も増えて

    寿命が短くなっていく国アメリカで何が起きているのか──『絶望死のアメリカ――資本主義がめざすべきもの』 - 基本読書
  • 2020年に刊行され、おもしろかったノンフィクションを振り返る - 基本読書

    2020年ももうすぐ終わるので、読んでおもしろかったノンフィクションを振り返っていこうかと。今年はまるっとの雑誌でノンフィクションの新刊ガイドを担当しており、例年よりもたくさん読んだような、あまり変わらないような。とはいえ、おもしろいノンフィクションには山ほど出会ったので、思い出しながら書いていく。 まずは科学系から! LIFESPAN(ライフスパン)―老いなき世界 作者:デビッド・A・シンクレア,マシュー・D・ラプラント発売日: 2020/09/01メディア: Kindle版科学系のノンフィクションの中で最もおもしろかったのはなにかといえば、デビッド・A・シンクレア、マシュー・D・ラプラントによる『LIFESPAN 老いなき世界』になる。シンクレアは老化の原因と若返りの方法に関する世界的な権威で、老化は克服できる病であり、克服すべきだ、とこのの中で強烈に主張している。ほとんどすべての

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  • 未来の社会の在り方に大きな影響を与える『2050年 世界人口大減少』から再生可能エネルギーへの転換を問う『グローバル・グリーン・ニューディール』などを紹介(本の雑誌2020年5月号掲載) - 基本読書

    ふりかえり 2020年5月号に書いたの雑誌原稿の転載をする。この月はなんといっても『2050年 世界人口大減少』が良い。人口が与える影響は経済のみならず環境や政治体制にも大きな影響を与えるので、この数字が将来的にどうなるのかは未来を見通す上では非常に重要だ。いまだに人口が増えすぎて環境がヤバいとかいっている人間がいるが、事態はとっくにその逆──これからどんどん人口が減少していく社会に、世界はどう対応していくべきなのか? が問われる時代になっているのである。 それ以外だと、『グローバル・グリーン・ニューディール』も大統領選も関連して外せない。再生可能エネルギーへの転換は、政治的にどうこう言わずともいずれコスト的な問題で自然に行われるだろう。ただ、その場合社会の形も大きく変わっていく。今この分野に大きく投資しているのは中国やEUだが、それらの国がどのように投資しているのかがよくわかる一冊で、

    未来の社会の在り方に大きな影響を与える『2050年 世界人口大減少』から再生可能エネルギーへの転換を問う『グローバル・グリーン・ニューディール』などを紹介(本の雑誌2020年5月号掲載) - 基本読書
  • 老化は治療可能な病気である──『LIFESPAN(ライフスパン): 老いなき世界』 - 基本読書

    LIFESPAN(ライフスパン): 老いなき世界 作者:デビッド・A・シンクレア,マシュー・D・ラプラント発売日: 2020/09/16メディア: 単行この『LIFESPAN』は、老化の原因と若返りに関する研究者/長寿研究の世界的権威であり、同分野で50件に及ぶ特許を取得し10以上のバイオテクノロジー関連の企業の立ち上げに関わっている実業家でもあるデビッド・A・シンクレアによる、老化研究の最前線について書かれた科学ノンフィクションだ。老化はほとんどすべての病気の起因となるにも関わらず、人が老いるのは仕方がないことと諦められてきた。 だが、老化の原因に関する研究が進むにつれて、老化を遅らせ、最終的には老化を完全に止めることができるのではないか、という道筋が立ち上がってきた。著者は、人間の老化のメカニズムを解き明かし、その仕組み上、老化は治療可能な病であると宣言してみせる。今の先進国で長生き

    老化は治療可能な病気である──『LIFESPAN(ライフスパン): 老いなき世界』 - 基本読書
  • 「いま・ここ」にいる人たちに読んで欲しい、東京に核が持ち込まれた状況を描き出す、藤井太洋による緊迫の現代スリラー──『ワン・モア・ヌーク』 - 基本読書

    ワン・モア・ヌーク (新潮文庫) 作者:藤井 太洋出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2020/01/29メディア: 文庫この『ワン・モア・ヌーク』は、近未来サスペンス・SFの書き手として知られる藤井太洋の最新作。2020年の3月11日。日人にとっては忘れることのできない東日大震災が起こったその日に、核兵器を東京の中心部で爆発させるというテロを宣告したテロリスト側と、それを阻止しようとする日政府関係者らの視点を軸にした、核兵器をめぐる現代スリラーである。one more nukeとは、核をもう一度の意味だ。 僕は藤井さんの作品を統計的に正確な至近未来の日の描写、IT周りの描写の確かさなどいくつもの側面からとても好んでいるが、この『ワン・モア・ヌーク』はその中でもピカ一の出来だ。その理由はいくつかある。まずひとつめは、藤井さんは小説を書き始めるきっかけとして、東日大震災と原子力発電

    「いま・ここ」にいる人たちに読んで欲しい、東京に核が持ち込まれた状況を描き出す、藤井太洋による緊迫の現代スリラー──『ワン・モア・ヌーク』 - 基本読書
  • 物理学と進化生物学のあいだに存在するつながりを解明する──『生命進化の物理法則』 - 基本読書

    生命進化の物理法則 作者:チャールズ・コケル出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2019/12/13メディア: 単行二〇一九年は、地球に存在する生物の動きと形は、この宇宙に普遍的に存在する物理法則から必然的に収斂するものであることを科学的に紹介するマット・ウィルキンソン『脚・ひれ・翼はなぜ進化したのか: 生き物の「動き」と「形」の40億年』。 動きや形よりもマクロな形として、はたして歴史を最初から繰り返した時に、今と同じような形と生態を持つ生物が生まれるのか? を進化生物学的な観点から解き明かしたジョナサン・B・ロソス『生命の歴史は繰り返すのか?』と生物✕物理の傑作ノンフィクションが刊行されたが、12月に刊行されたチャールズ・コケルによる『生命進化の物理法則』もその流れに連なる一冊だ。これも傑作といっていい。 前二著との違いを上げるとすれば、書の方がよりミクロな方、よりさかのぼっ

    物理学と進化生物学のあいだに存在するつながりを解明する──『生命進化の物理法則』 - 基本読書
  • 麻酔で意識が落ちる時、何が起こっているのか──『意識と感覚のない世界――実のところ、麻酔科医は何をしているのか』 - 基本読書

    意識と感覚のない世界――実のところ、麻酔科医は何をしているのか 作者:ヘンリー・ジェイ・プリスビロー出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2019/12/18メディア: 単行歴史、特に最悪の医療の歴史などを読んでいると、あ〜現代に生まれてきてよかったなあと、身の回りに当たり前に存在する設備や技術に感謝することが多い。昔は治せなかった病気が今では治せるケースも多いし、瀉血やロボトミー手術など、痛みや苦しみを与えるだけで一切の効果のなかった治療も、科学的手法によって見分けることができるようになってきた。 だが、そうした幾つもの医療の進歩の中で最もありがたいもののひとつは、麻酔の存在ではないか。正直、麻酔のない世界には生まれたくない。切ったり潰したりするときに意識があるなんてゾッとする。そのわりに、患者に麻酔を施す麻酔科医の仕事は光が当たりづらい分野である。何しろ実際に手術や治療を担当す

    麻酔で意識が落ちる時、何が起こっているのか──『意識と感覚のない世界――実のところ、麻酔科医は何をしているのか』 - 基本読書
  • すべての車が自動運転車になった時、社会の形は激変している──『ドライバーレスの衝撃—自動運転車が社会を支配する』 - 基本読書

    ドライバーレスの衝撃—自動運転車が社会を支配する 作者:サミュエル・I・シュウォルツ出版社/メーカー: 白揚社発売日: 2019/12/07メディア: 単行この『ドライバーレスの衝撃』は、日々その支配を増しつつある自動運転車について語られた一冊である。自動運転車といっても、今まで人間が運転していた車が一部自動運転に変わるだけで、社会なんて変わらないでしょう、ましてや支配とは、と思うかもしれないが、書を読めばその意味するところはすぐ理解できるだろう。 実際、車の多くが自動運転者に置き換わっていく過程で、道路の形がかわり、人々の生活がかわり、文化もかわると想定され、さらにはその選択いかんによっては人命が失われたり環境破壊がより進展したりといった悪影響も想定されるのである。たとえば、米国の全雇用の七分の一が輸送に関わっているというが、もし仮にこれがすべて自動運転車に置き換わったら、その分の雇

    すべての車が自動運転車になった時、社会の形は激変している──『ドライバーレスの衝撃—自動運転車が社会を支配する』 - 基本読書
  • 技術がもたらした価値観の変容が事件へと密接に関わってくるSFミステリ短篇集──『ベーシックインカム』 - 基本読書

    ベーシックインカム 作者: 井上真偽出版社/メーカー: 集英社発売日: 2019/10/04メディア: 単行この商品を含むブログを見るベーシックインカムと言うと、普通は全国民に一律3万なり10万なりといった一定額を定期的に振り込み続ける、最低給付保障をさす言葉である。僕もつい先日これについての記事を書いたばかりだが、記事で取り扱う『ベーシックインカム』は、森博嗣、西尾維新、清涼院流水ラインの最先端ミステリ『その可能性はすでに考えた』などで知られる井上真偽の最新作にして、SFミステリ連作短篇集である。 huyukiitoichi.hatenadiary.jp 僕もこの作品は圧倒的なキャラの強さ、推理における演出のトンデモさとそれを支えるロジックの鮮やかさで大いに楽しませてもらった。そうはいっても、SFミステリはどうじゃろか……と思いながら読んだけれども、これがきちんとおもしろい。短篇はど

    技術がもたらした価値観の変容が事件へと密接に関わってくるSFミステリ短篇集──『ベーシックインカム』 - 基本読書
  • BIを導入したら本当に人は働かなくなるのか?──『みんなにお金を配ったら──ベーシックインカムは世界でどう議論されているか?』 - 基本読書

    みんなにお金を配ったらー―ベーシックインカムは世界でどう議論されているか? 作者: アニー・ローリー,上原裕美子出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2019/10/11メディア: 単行この商品を含むブログを見るベーシックインカムという、最低限所得保障の考え方がこの世に存在する。簡単に説明すれば、一月3万なり10万なりを、制限をつけず全国民に配布しちゃいましょう、という考え方である。「え、毎月10万貰えたらメッチャ嬉しい、やったー!」と気分が沸いてくるが、実際には利点に関しても欠点に関しても様々な議論がある。 BIの想定される利点と欠点 たとえば、そもそも財源をどうするんだ、という問題がある。また、全国民に配分するということは、金持ちにも同様に配るわけなので、貧困者を狙い撃ちにしたほうがもっと効果的なんじゃない? 説もある。他にも、毎月10万も(仮に)もらえたとしたら、人々は働かなくな

    BIを導入したら本当に人は働かなくなるのか?──『みんなにお金を配ったら──ベーシックインカムは世界でどう議論されているか?』 - 基本読書
    koonya
    koonya 2019/10/15
    シンプルになって公事業削減になるし良いのかな。人当たり支給なら子供産むインセンティブにもなるし。ただ少子化緩和の前に養子縁組搾取でヤクザのシノギになりそうな気もする。。
  • 科学的で現代的な「人を動かす」──『事実はなぜ人の意見を変えられないのか-説得力と影響力の科学』 - 基本読書

    事実はなぜ人の意見を変えられないのか-説得力と影響力の科学 作者: ターリシャーロット,上原直子出版社/メーカー: 白揚社発売日: 2019/08/11メディア: 単行この商品を含むブログを見る事実では人の行動は変わらないという。議論をしたときに「これこれこういう事実がある」という主張をしても相手の意見が変えられなかった、ということは多かれ少なかれみな体験しているものではないだろうか。たとえば、アメリカではワクチンを摂取することで知的障害などが発生するリスクがあるというデマが拡散して、そのせいで百日咳やおたふく風邪が今更蔓延するというアホくさい状況が発生している。 ワクチンによって知的障害リスクが上がるのは完全にデマなので、科学的な事実の啓蒙を行えばいいでしょ、と思うかもしれないが、実はこれには全然効果がないのである。ある実験では反ワクチン思想を持つ親を集め、麻疹にかかった子どもの痛まし

    科学的で現代的な「人を動かす」──『事実はなぜ人の意見を変えられないのか-説得力と影響力の科学』 - 基本読書
  • 最先端物理理論の提唱者が語る、時間の実態──『時間は存在しない』 - 基本読書

    時間は存在しない 作者: カルロ・ロヴェッリ,冨永星出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2019/08/29メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る時間は存在しない、といきなり言われても、いやそうは言ったってこうやって呼吸をしている間にもカチッカチッカチッと時計の針は動いているんだから──とつい否定したくなるが、これを言っているのは、一般相対性理論と量子力学を統合する、量子重力理論の専門家である、職のちゃんとした(念押し)理論物理学者なのである。 名をカルロ・ロヴェッリ。彼が提唱者の一人である「ループ量子重力理論」の解説をした『すごい物理学講義』は日でもよく売れているようだが、書はそのループ量子重力理論から必然的に導き出せる帰結から、「時間は存在しない」ということをわかりやすく語る、時間についての一冊である。マハーバーラタやブッタ、シェイクスピア、『オイディプ

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  • SFマニアからビギナーまであらゆる層を満足させる、オールタイム・ベスト級の傑作SF短篇集──『なめらかな世界と、その敵』 - 基本読書

    なめらかな世界と、その敵 作者: 伴名練,赤坂アカ出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/08/20メディア: 単行この商品を含むブログを見るこの『なめらかな世界と、その敵』を端的に紹介すれば、SFマニアからビギナーまであらゆる層を満足させる、オールタイム・ベスト級の傑作SF短篇集である。とはいえ著者伴名練の名は、SFファン以外は聞いたことはないだろう。既刊行作は『少女禁区』という約10年前に刊行された中短篇集一冊のみで、その後も企画物のアンソロジーに散発的に短篇を発表しるのみだったから、普通は知る機会は多くはない。 だが、SFファンの間では、書の刊行前から伴名練の名は異常なほどの熱気でもって知られていた。というのも、商業発表作こそ少ないものの、同人誌に毎年のように新作短篇を発表しており、その作品の出来がまた凄まじかったからだ。それまでのSFの先行作を緻密かつ複雑に折り込み、舞

    SFマニアからビギナーまであらゆる層を満足させる、オールタイム・ベスト級の傑作SF短篇集──『なめらかな世界と、その敵』 - 基本読書
  • ゾンビ化が始まったが最後、緩やかに自我と身体が失われてゆく──『マーチング・ウィズ・ゾンビーズ ぼくたちの腐りきった青春に』 - 基本読書

    マーチング・ウィズ・ゾンビーズ ぼくたちの腐りきった青春に (ジャンプジェイブックスDIGITAL) 作者: 折輝真透,うえむら出版社/メーカー: 集英社発売日: 2019/06/19メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る第四回ジャンプホラー小説大賞の、初の金賞受賞作にして著者折輝真透のデビュー作。地味に凄いのが先日早川書房のアガサ・クリスティー賞でも折輝真透は受賞していることで、早速その実力の高さ、平均値の高さを証明してみせたといったところ。 実際、作(『マーチング・ウィズ・ゾンビーズ』)はゾンビ物にして青春物、しかも主人公(ゾンビ化して死を待っている状態)はフィッツジェラルドに憧れており、しきりとフィッツジェラルドの作品や人生を振り返ってみせる──というなんだかよくわからない取り合わせながらも、全体を通して実に読ませるのだ。何らかのジャンルの枠組みに入るというよりかは、

    ゾンビ化が始まったが最後、緩やかに自我と身体が失われてゆく──『マーチング・ウィズ・ゾンビーズ ぼくたちの腐りきった青春に』 - 基本読書