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ブックマーク / cruel.org (6)

  • 「エコノミスト」より:「貧困者」の基準について

    貧困の基準について (The Economist Vol 387, No. 8580 (2008/5/22) p.87, "On the poverty line") 山形浩生訳 (hiyori13@alum.mit.edu) 「一日一ドル」はもうおしまいか? 2007 年 12 月、世界銀行は史上最大のウィンドウショッピングの結果を公開した。世界146ヶ国の調査員たちが、屋台やスーパーマーケットや通販カタログをあれこれ調べ、デュラムセモリナスパゲッティ 500 グラムパックから、ヒールの低い婦人にいたる、1,000 件以上の品目の価格を記録したのだった。 この大がかりな事業のおかげで、世銀は 2005 年における多くの国の購買力を比べられるようになった。結果は、統計的に驚かされるものも多かった。たとえば中国の物価は、初期の推計で出てきたよりずっと高かった。つまり 2005 年の中国人の

  • シューレス・ジョー・スティグリッツ

    シューレス・ジョー・スティグリッツ:頂点に立つ叛乱児 ジョナサン・チャイト Jonathan Chait, "Shoeless Joe Stiglitz," The American Prospect vol. 10 no. 45, July 1, 1999 - August 1, 1999. 要約:1990 年代末から 2000 年代初期にかけてのクリントン政権と世界銀行におけるスティグリッツの活躍。政治的配慮まったくなしの罵倒と活躍ぶりは、いい面もあったが悪い面もあった。ちなみに当人による回想記も絶品なので必読。 ジョセフ・スティグリッツは、クリントン大統領の権力集団の中ではあまり人気がないはずだ。かれが 1993 年にワシントンにやってきて、クリントンの経済諮問委員会(CEA) に加わったとき、かれは自分が思うべきだとされる公式見解ではなく、当に思っていることを口に出してしまうとい

  • チベットの未来

    (" Future Tibet" Frontline, 2007 年 7 月 27日号、pp.4-19) N.ラム著 山形浩生訳 要約: 「チベットは大幅な経済成長を遂げていて、その繁栄ぶりは疑いようがないし、多くの人の生活水準は大幅に向上した。中国政府はチベットの発展に明らかに尽力している。一方ダライ・ラマのチベット亡命政府のプロパガンダはウソも多いし、さらにダライ・ラマが民主チベットを口にするとは片腹痛い。中国以前のチベットは、すさまじい奴隷制の民主のかけらもない代物だったのだ。かれらの政治的要求もほとんど現実味はない。チベットは中国の一部として今後も大きく発展するだろう。チベット独立など絶対ありえん」。インド誌の記事でありチベットの状況に関して異様なほど露骨な中国側見解の受け売り部分が多いものの、ダライ・ラマをうっとうしく思い、中国との関係維持改善を重視したいというインド国内の(それ

  • やっぱり貧乏人は合理的でないのかもしれないよ。

    (The Economist Vol 383, No. 8526 (2007/04/28), "Economic Focus: Another day, another $1.08," p. 90) 貧乏人は減りつつあるし、その貧乏にでさえ選択の余地はある――最善の選択をするとは限らないかもしれないけれど。 今月、世界銀行は、一日一ドル以下で暮らす人の数が 2004 年には 9.86 億人だったと発表した――これはそうしたひどい状態で暮らす人の数が 10 億人を下回った初めての年となる。世界銀行の極度な貧困の定義は、明快で単純で、dollar a day と d の続く頭韻にさえなっている。Journal of Economic Perspectives最新号で、マサチューセッツ工科大のアブジット・バナジーとエスター・デュフロは、これをレトリック的な名作と呼んでいる。だがこれはそんなにいい

  • 論座 2006/08 Book Review

    『ヤバい経済学』:お金だけが大切じゃないことを、説教としてではなく理論的に解明しようとする経済学の新潮流 レヴィット、ダブナー『ヤバい経済学』(東洋経済新報社, 2006) (『論座』2006 年 8 月号) 山形浩生 要約: 『ヤバイ経済学』は、経済学お金だけを扱うものではないことをはっきり示し、その方向性を次々に打ち出している実に楽しくも有意義な一冊だ。でも日のタコツボ経済学の世界はそれをきちんと評価できない。「お金ばかりを重視してはいけない」と年寄りの説教は大好きなくせに、ではお金以外をどうやって学問として考えようかについてまったく考えていない。書はそれをやっているのが偉大なところである。 書は刊行されてからすでにかなりの時間がたっている。ぼくは原書で読んで狂喜したし、すでに版権が取られていて自分では訳せないことを知って不安になったが(だってこんな楽しいが、どんよりした学者

  • 貧困と闘いつつ、貧困者に害をなすNGOたち

    NGOs: Fighting Poverty, Hurting the Poor セバスチャン・マラビー (Sebastian Mallaby), Public Policy September/October 2004 山形浩生 訳 要約: 貧困に対する戦争は、善意の砲火に脅かされている。メディア指向の西洋活動家たちが援助機関に襲いかかり、途上国を搾取すると称するプロジェクトを阻止すべく抗議運動を繰り広げているのだ。こうした抗議運動は、職業扇動家たちのお気に入りのテーマを目立たせてくれるので、かれらには好都合だ。だが、飲料水も水もなく暮らしている何百万もの人々には必ずしも役にたつわけではない。 去年、わたしはウガンダを訪問した。アフリカの絶望的な状況がどうやって改善に向かったのか、貧困ライン以下で暮らしている人々の数を 1990 年代にほぼ 40% も減らせたのはなぜなのかを理解したかっ

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