栗城史多×安藤美冬 【第2回】 「苦しいエベレスト挑戦もみんなで楽しみたい」 すべてをリアルタイムで伝える登山家が目指す夢 第1回はこちらをご覧ください。 僕はナルシストなんでしょうね 安藤: 栗城さんの中で、一人の30歳の男性である「僕」と、登山家である「栗城」が両立しているのは、わかる部分もあるんです。人間というのは多面的な存在だから、時によって、場合によって、あるいは所属しているコミュニティによって、複数のペルソナ(人格)を使い分けながら生きていますよね。栗城さんもそういうことはないですか? 栗城: 僕の場合、あまりないと思います。昔、野口健さん(登山家)の『落ちこぼれてエベレスト』という本を読んだんですが、その中に、野口さんがお父さんから「お前は野口健として生きろ」と言われる場面がある。この言葉はカッコいいな、素敵だなと思いましたね。「どこどこの誰々」とか「これこれの仕事をしている