■復興への具体策見えず国に疑念も 2020年に開催される東京五輪を安倍晋三首相が「復興五輪」と位置づける中、被災地では早くも“五輪需要”による影響が出始めている。一部の建設会社などは、人件費や材料費の高騰、人手不足などで利益の出ない被災地での事業を諦め、五輪景気を期待して拠点を東京に移しつつある。被災地からは「政府は五輪を復興につなげるというが、具体策が見えてこない」と疑念の声がある。(大泉晋之助) ◇ 「仙台はもう閉めるよ。五輪があるからね。あとは最低限の回収をするだけだ」。東日本大震災発生から3年を控えた2月中旬、仙台市中心部に本社を構える建設会社の男性社長は、残務処理をしながらこう語った。 男性社長は震災前、東京を中心に建設コンサルタントとして仕事をしてきた。震災発生後間もない平成23年5月には復興需要を見込んで仙台に本社を移し、大手ゼネコンと被災