日本に健全な資本主義を根付かせようとした渋沢栄一(1840–1931)、それを継承しながら進んで没落する一方で真っ当な学問の土壌を耕した孫の渋沢敬三(1896–1963)、そしてその狭間にあって遊蕩に身をやつし廃嫡の憂き目にあった渋沢篤二(1872–1932)。 渋沢家三代 (文春新書) 作者: 佐野眞一出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 1998/11メディア: 新書購入: 1人 クリック: 157回この商品を含むブログ (19件) を見る 佐野眞一は、あくまで資本集積の論理を追究したキャピタリストだった三井家や三菱財閥を興した岩崎家とは異なり、「財なき財閥」と呼ばれた渋沢家、その三代を、拝金思想に冒されるはるか以前のスケールの大きな「忘れられた日本人」として浮き彫りにする。 三人三様の人生の筋の通し方とうっちゃり方が大変面白かった。栄一の反独占的な資本主義経済のビジョンと実践、敬三の