過激派組織「イスラム国」(IS)の最高指導者バグダディ容疑者が、ロシア軍の空爆で死亡した可能性が浮上した。2014年6月、イラク、シリア両国にまたがる「カリフ制国家」の樹立を宣言してから3年。一時は両国土の半分近くを支配下におさめたISは追い詰められ、「国家」の姿を失いつつある。 バグダディ容疑者の最後の声明は、2016年11月3日に公開された音声だ。イラク北部の最重要拠点モスルがイラク政府軍などに包囲される中、戦闘員に「持ち場を離れるな」などと徹底抗戦を訴えた。 だがこの時すでに、同容疑者はシリア国境の砂漠地帯に逃れていた可能性がある。今年5月末、イラク北部クルディスタン地域政府の治安部隊、ペシュメルガ省のジャバル・ヤワル長官は朝日新聞の取材に対し、約1カ月前の情報として同容疑者が「イラク、シリア国境で頻繁に居場所を移している」と述べた。 ISは15年後半以降、イラクとシリアで立て続けに