LPレコードがアッという間にCDに置き換わってしまったのは、アナログがデジタルになることで得られるメリットがとてもわかりやすかったからだ。何度聴いてもすり減らないし、コンパクトで場所をとらないなど、買う側のメリットも多い。音楽愛好家たちが困っていたことが、CDによって解消されるのだから、それを拒む理由はない。もちろん、デジタル化によって失われるものもあったし、それを叫ぶ議論もあったわけだが、結局大衆は、デジタルを選んだ。 その一方で、映画はどうか。ソロリソロリとデジタル化が進む映画コンテンツだが、デジタルに対応した映画を見ることができる劇場は驚くほど少ない。このデジタル全盛の時代にあって、アナログがもっとも元気な世界の1つだともいえそうだ。 ●映画が上映されるまで 今、ぼくらが映画館で日常的に見ている映画は、第3世代のプリントだ。といってもテクノロジの話ではない。子、孫を経た曾孫世代の映像