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  • 2025年度感染症内科フェロー募集

    kskim
    kskim 2024/04/25
  • 日本の新型コロナ対策を総括する

    海外事情」に寄稿した文章です。許可を得てこちらに転載します(初稿)。書いたのは昨年12月なのでデータはやや古くなりましたが、「総括」なので、内容は特に問題ないと思います。御覧ください。 緒言 日の新型コロナ対策を「総括」、すなわち総合的なパースペクティブからまとめようとしたものが過去に2つ存在する。一つは、書籍になった「新型コロナ対応/民間臨時調査会 調査・検証報告書」[1]であり、もう一つは、政府が招聘した新型コロナウイルス感染対応に関する有識者会議が出した「新型コロナウイルス感染症へのこれまでの取組を踏まえた次の感染症危機に向けた中長期的な課題について」[2]である。 しかし、前者はどちらかというと「証言集」に近く、やや厳しい言い方をすれば、「個人の感想」集であり、属人的なものだった。データ解析、ファクトの解析には乏しかった。後者については政府に依頼されて役人が突貫工事でまとめたも

    日本の新型コロナ対策を総括する
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    kskim 2023/03/30
  • ムダな水やりの話と、サル痘水際対策の話と、古文漢文の話。

    庭に水やりをしたすぐあとで、激しい夕立が降ってきたりすると心底がっかりします。計画性も生産性もない作業にムダな時間、ムダな水道水を浪費してしまった自分を責めます。こういうムダは当に嫌いなのです。 ところが、このような生産性のない作業を容認したり、ひどいときには奨励すらするエートスが日のここかしこに見られます。曰く、「毎日、水やりをやるその気持が大切なんだ」とか「努力は裏切らない」とか「確かに、気の毒な話だが、一定の効果はあったと思う」といった、努力を奨励する努力主義です。 大量の雨水が落ちてくる夕立に対して、ぼくが撒くことのできる水の量などたかが知れていて、とても「一定の効果があった」などとは言えません。こういうのをぼくは「毛が3生える育毛剤」と呼んでいます。常識的に言えば、3しか毛が生えない育毛剤は「ヤクタタズの育毛剤」ですが、たちの悪いタイプの役人とかは詭弁を弄して「毛は生えた

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    kskim 2022/07/28
  • ブルシット・ジョブと評価と多様性と、日本組織の陥穽について

    今、書いているの一部です。長いです。 新型コロナウイルス感染症界隈では、普段、感染症系の書類を書いたことがない人も、感染対策に駆り出されて書類作成をお願いされました。あまりに無駄が多くてうんざりした人も多かったのではないでしょうか。これは「紙の」書類のみならず、コンピューター上の入力作業も同様です。 なぜ、医療の世界ではムダ書類が多いのか。 理由はいろいろだと思いますが、ぼくは最大の理由に日社会の「努力主義」があると思っています。 日社会における評価のポイントは「努力」なのです。頑張ったことに対して対価が与えられる。頑張ったことを評価される。その頑張りが何をもたらしたのか、はあまり関係ない。 だから、書類仕事も簡単な書式では満足できない。あれも、これも書かせないと「ちゃんと書類を書いた」ことにならない。 診療時の保険審査で「病状詳記」を書かされることがあります。あれも、保険審査で通す

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    kskim 2022/07/22
  • ただの備忘録

    僕は島根県生まれで、当時の島根医科大学に進学したが、同級生や先輩たちの島根の悪口が嫌で嫌でたまらなかった。当時は半数以上が県外からの入学生で、島根より田舎から来る人など稀有で、皆「もっと都会」からやってきていた。おまけに入試の日程などの関係で「第一志望」で入学して来る人は少なく、多くは「第一志望に落ちて仕方なく」島根にやってきたのだった。「こんなところに来るはずじゃなかった」という不満を隠そうともしない人は多かったし、仮面浪人して翌年、別の医学部を受験して去っていった人もいた(今から考えると、なんだったのだろう、あれ)。 時はインターネットも携帯電話もなかったし、都会と田舎の格差は非常に大きかった。バブルの残滓もあって、西洋的な生活が「ナウくて」日田舎は「ださい」のが若者文化的な一般解だった。今なら、「都落ち」と考え、がっくり来ていた友人たちの気持ちもよく分かるけど、当時の僕は「島根を

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    kskim 2022/02/25
  • 閾値という考え方 新型コロナの出口の条件

    福岡放送のテレビ番組に日出るが、昨日、その打ち合わせでいろいろお話した。自分の思考を整理するためにも、そのときのコメントをここにまとめておく。もちろん、すべて私見である。なお、これはあくまでも自分のためのメモなので、専門用語などは詳しく説明していない。不明な用語その他は各自ググっていただきたい。 新型コロナを感染症法の2類相当(実際には新型インフルエンザ等感染症)から5類にすべきか、という質問をしばしば受ける。そのたびに、「そこはさしたる問題ではない」とお答えしている。 そもそも、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(いわゆる感染症法)が施行された1999年から、僕はこの法律に大いに不満だった。この法律は新たに勃発する感染症が国を脅かした場合にいかに封じ込めるか、という「感染管理」と、過去に大きな人権侵害をもたらしたエイズやハンセン病といった「人権」問題のバランスをと

    閾値という考え方 新型コロナの出口の条件
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    kskim 2022/01/13
  • 医学部の学びは「習い事」なのか

    「あくび指南」など、習い事をテーマにした落語は多い。 「習い事」は暇つぶしに学ぶもので、真剣にプロフェッショナルに学ぶものではない。師匠もプロを養成しようとははなから思っておらず、あまり厳しく教えたりすると教え子からクビになったり破門されたりするので(笑)、そこはおべっかを使いながら、ユルユルと教えるのである。 さて、ここ5年くらいのことだが、医学生の学びが「習い事」化している場面を散見する。 特に顕著なのが、私立大学や大都市圏の大学だ。ぼくは全国の医学部を網羅的に知悉しているわけではないので、自分のささやかな経験と、他の先生方から教えていただいた内容から得た限定的な印象でしかないが、教員が学生におべっかを使い、手取り足取り、箸の上げ下げまで丁寧に教え、項目の勘所をパワポのハンドアウトで要約し、テストに出そうなところは授業で教え、「試験にでる」スライドをスマホでパシャパシャ撮影させ、という

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    kskim 2021/06/24
  • プロトコルベースとアウトカムベース。前向きと後ろ向き。三人称と一人称。

    もう20年近く前の話になるが、ニューヨーク市などで炭疽菌を用いた生物兵器テロが発生した。その対応に忙殺された話は「バイオテロと医師たち」で述べたので繰り返さない。 実は2001年のこの事件よりずっと前、1990年代からバイオテロの懸念はあった。JAMAなどで特集シリーズをやったりして僕らも基礎知識をつけていたわけだが、蓋を開けてみると、アメリカ市民が「案外」パニックに脆弱だったりして、その対応はすったもんだした。COVIDもそうだけど、アメリカ社会には「理想と現実」の乖離がある。これも拙著で繰り返し指摘しているところだ。 ときに、その炭疽菌テロが起きているさなかに、「次は天然痘じゃないか」という議論が起きた。天然痘ウイルスを使った人為的殺戮行為は南北アメリカ大陸で事例がある。だから、テロリストがこのウイルスをテロ行為に使うという想定は十分に「起こりうる」想定だ。よって、医療従事者、特に感染

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    kskim 2021/05/23
  • オリンピックは開催できるか

    論の理路は長い(あと、やや分かりにくい)ので、お手数ですが端折らず最後までお読みください。 以前、「成人式には行かないで」というブログを書いた。同様に、アスリーツに「オリンピックにはこないで」というメッセージを出せばよい、というご意見を頂いた。 稿のテーマは「オリンピックは開催できるか」だが、その前に「アスリーツに来ないで」というべきかについてコメントする。 アスリーツにオリンピックに来ないで、というべきではない。 成人式に行かないでほしい、という意見は、新成人が(しばしば)都会から田舎に移動し、旧友たちと旧交を温め、実家に帰り、家族親類と久方ぶりに再会する、というシナリオが容易に想定できたからだ。それは感染リスクの拡大のみならず、ハイリスクな高齢者への感染の広がりのリスク増加を意味する。成人式なんかに出なくたって成人はする。ぼくも外国にいたので成人式には出なかった。成人式に出る「価値

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    kskim 2021/05/11
  • ツイッターにログインできない問題と、新アカウントについて

    おはようございます。岩田健太郎です。 2021年4月22日くらいから、ツイッターにログインできない問題が生じています。何度もツイッター社に問い合わせたのですが全くの無回答なので、そもそも対応するつもりはないように思います。 それ以前にもシャドウバンという問題もあったのですが、今回はログインできないので、また別問題です。 アカウントそのものは今も存在しているようです。 原因は不明です。個人的にはフェイクや反社などには関わっていないと信じていますが、最近はインドでも政府のコロナ対策批判のツイートが禁じられているようなので、いろいろあるのかもしれません。 まあ、ツイッターは情報発信以上に情報収集で必要なので別アカウントを作りました。物かどうかわからん、というご意見も頂戴したのでここに物ですよ、と申し上げておきます。もっとも、AIによるシャドウバンと異なり、ログインできない問題はちょっと、狙い

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    kskim 2021/05/05
  • 成人式には行かないで

    岩田健太郎といいます。もうすぐ50歳になるおっさんです。感染症を専門にする医者でもあります。 この文章は、「成人式には行かないで」というお願いの文章です。 なぜ、そのような文章を皆さんに読んでいただきたいのか、今からその理由を説明します。 理由は新型コロナウイルスです。このいまいましいウイルスがいなければ、我々は毎年行っている楽しい行事を楽しくとりおこなうことができたのです。が、残念ながら今はその時期ではありません。すべてはこのウイルスのせいなのです。 一生一度の大事な成人式、たかだか風邪の親戚みたいなウイルスごときで、止めにするなんて嫌だよ。そんな意見もあることでしょう。 でも、一生一度の大事な成人式だからこそ、ここで一歩踏みとどまってもらいたいのです。 すでに、年末年始に帰省した若者から、家族親戚に感染した事例が兵庫県でも複数見つかっています。確かに若者にとってはこのウイルスはほとんど

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    kskim 2021/01/10
  • インフルエンザについて

    以下は推測の部分も多々あるので、医学的解説というよりも医学的推考、どちらかというと「エッセイ」に近いものと思って読んでいただきたい。 インフルエンザの発生件数が非常に低い。なんでも、「ツインデミック」みたいなものを喧伝したメディアもあったようだが、2020年初頭にインフルが非常に少なかったのと同様、この冬はインフル発生は少ないままであろう。 理由はいくつか考えられる。 1.夏の南半球のインフル発生が非常に少なかった(COVID-19対応のため)。よって、冬の北半球にウイルスがほとんど循環していない。 南米のチリ、オセアニアのオーストラリア、アフリカの南アフリカいずれもインフルはほとんど発生しなかった。南半球で循環するインフルエンザウイルスの多くが冬に北半球で流行することを考えれば、当然北半球でもインフルは少なくなる。 https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/69/

    インフルエンザについて
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    kskim 2020/12/12
  • 西浦博「新型コロナからいのちを守れ!」を読んで

    著者献御礼 川端裕人氏が聞き手になってまとめられた。 すごい。これまでブラックボックスになっていた第一波収束までの政府の内部事情がかなり詳しく理解できる。関係諸氏は必読だ。 西浦先生は極めて純粋な学者だし、善良な医療者だからここまで率直に、そして正直にやる。だからこそ、その文章は信用できる。今や国内外問わず、「平気で嘘をつく」ことが日常的、かつ普遍的になってきた昨今、コンテンツのクレディビリティは正直さにしかないのだと、改めて思い知る。論文書く人には常識なのだが、、、いや、最近は論文書く人ですらこのへんが怪しいこともあるのだが、、、、来、文章とはこうあるべきだ。 西浦理論、数理モデルの内容を論評する能力は僕にはない(どこかでも書いたが、ぼくは西浦先生から数理モデルの初歩の手ほどきを受けた立場だから)。が、感染症の様々な様相に対する理解、見解は概ねぼくと西浦先生は共通している。例えば、

    西浦博「新型コロナからいのちを守れ!」を読んで
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    kskim 2020/12/08
  • パワーズ運動生理学。やはり教科書は大事

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    kskim 2020/12/05
  • 幻想と欲望のコロナウイルス、という不都合な真実について

    新刊が出ます。例によって、序文掲載です。 そりゃあ自信を持ってるでしょう。徳永家の勝手口から出てきたのがたとえ突撃隣の晩ご飯のヨネスケであったとしても安藤貴和に見えたに違いないみんながそれを望んでいるから。人は見たいように見、聞きたいように聞き、信じたいように信じるんです。 ドラマ「リーガル・ハイ」より 書のサブタイトルは「幻想と欲望のコロナウイルス」となっています。世界中のほとんどすべての人たちがこのウイルスによって人生を変えられ、生き方を変えられ、考え方にまで大いなる変更を強いられています。よって、このウイルスと無縁は人はほとんど存在しないと言ってもよいくらいです。 だから、人は語りたがる。コロナウイルスについて蘊蓄を傾け、自説を披露し、他人を論破、場合によっては罵倒しないではいられない。ソーシャルメディアという便利な道具もあるわけで、この趨勢にはブレーキがかからない。市井の人々も、

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    kskim 2020/12/03
  • CDCのフィールド疫学マニュアルできました。

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    kskim 2020/12/03
  • シリーズ 外科医のための感染症 コラム 「エビデンスないんでしょ」「いや、エビデンスは常にある」

    シリーズ 外科医のための感染症 コラム 「エビデンスないんでしょ」「いや、エビデンスは常にある」 EBM(evidence based medicine)という言葉はすでに人口に膾炙し、EBMという言葉を知らない人はほとんどいなくなりました。 ただ、未だに「アンチEBM」の人は多いですね。 「アンチEBM」よりも、もっと厄介なのは「エビデンス」という言葉を「武器化」してしまう人たちです。 例えば、Aという抗菌薬を使ってはどうでしょう、とか何日間治療しましょうか、という話をした時に、「そんなのエビデンスあるんですか」という感じで反論されるパターンです。非常にまれではありますが、「エビデンスないんでしょ」を「お前のいうことは聞かないよ」という一種の「脅し文句」として使っている先生もおいでです。 残念な話ですが、「エビデンスないんでしょ」とか「エビデンスあるんですか」とおっしゃる先生がたは、ある

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    kskim 2020/11/27
  • ワクチンレース出版

    解説を書きました。初稿をここに紹介します。なおワクチンをDrヤンデルみたいに二度読みしないように。 2009年のノーベル医学生理学賞を受賞したのは、エリザベス・ブラックバーン、キャロル・グライダー、そしてジャック・ショスタクの3氏だった。細胞寿命の鍵を握る染色体の先端にある連続する塩基配列、テロメア、そしてテロメアを修復する酵素であるテロメラーゼの研究成果が受賞の理由であった。このテロメアがだんだん短縮していくとついに細胞は死亡する。細胞は永遠に分裂できる不死の存在ではないのだ。テロメアが短縮し、細胞が死に至る限界点をヘイフリック限界とよぶ。それにしても、エリザベス・ブラックバーンとキャロル・グライダーがテロメラーゼを発見したのはグライダーがまだ23歳のとき。カリフォルニア大学バークレー校の大学院生だった。ブラックバーンは同校の准教授でまだ30代だった。ジャック・ショスタクがハーヴァード・

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    kskim 2020/10/17
  • 「コロナと生きる」新著紹介

    バタバタしていて失念していましたが、新著を紹介します。内田樹先生との対談です。「はじめに」をご紹介。 はじめに 神戸大学の岩田健太郎です。 書は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)をテーマに、3回にわたって内田樹先生とお話した、その対談をまとめたものです。 一般的に、ぼくは対談が大好きで、対談の企画をいただくとたいていお受けしています。自分からも「こんな対談の企画はどうだろう」と提案することもしばしばあります。これまでにもたくさんの方と貴重なお話をする体験に恵まれてきました。内田先生とも10年以上前でしょうか、ある看護雑誌の企画で対談させていただいたのがご縁でしばしばご一緒するようになりました。うちもすぐ近くですし。 なぜ、対談が好きかと言うと、「他者の言葉」に興味があるからです。 「他者」というのは、「自分とは同じようなことを言わない、考えない」人のことです。内田先生のお言葉

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    kskim 2020/09/18
  • 外来診療の型(書評)

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    kskim 2020/09/10