外交上において、国家が自国内や他国に対して自らの意思を伝えるとき、末尾に「懸念」、「憂慮」、「遺憾」、「非難」といった言葉が用いられているのをニュース等でよく見かけると思う。これらの表現例は、相手を批判する場合に用いられるものであるが、その時々の状況に応じて適当に発せられているわけではない。日本の場合、8段階の外交表現(外交プロトコル)を基本として批判の度合いを示し、相手国や国際社会に対して自国の立場を明確化している。ちなみに、アメリカでは5段階の批判表現を使用している。 では、近年の事例で具体的にどんな状況のとき、どのレベルの表現が使われているのかをいくつか見てみよう。 《懸念》 2021年4月27日、閣議で茂木敏充外相は2021年版外交青書を報告した。その中で、東・南シナ海での中国による領土拡張的な動きについて「日本を含む地域と国際社会の安全保障上の強い懸念」と明記。20年版では「地域