東京電力の清水正孝社長が東日本大震災が発生した3月11日の夜、関西方面の出張先から東京に戻るため航空自衛隊の輸送機に搭乗した後、輸送機がすぐに引き返していたことがわかった。北沢俊美防衛相が被災地向けの輸送を優先するよう指示したためだが、輸送機がすでに離陸したことは知らなかったという。 防衛省によると、11日午後9時40分ごろ、首相官邸内で開かれた会議で防衛省に対し、自衛隊機を使って清水社長を帰京させられないかという依頼があった。防衛省事態対処課が統合幕僚監部などに連絡。小牧基地(愛知県)から入間基地(埼玉県)を経由して東京まで送る計画を立てた。 午後11時半ごろ、清水社長を乗せた航空自衛隊のC130は小牧基地を飛び立った。ほぼ同時刻に事態対処課長が北沢氏に報告すると、北沢氏から「被災者支援を優先すべきだ」と指示された。この時点で北沢氏も事態対処課長も、輸送機がすでに離陸したことは知らな