森があふれる 作者: 彩瀬まる出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2019/08/08メディア: 単行本この商品を含むブログを見る彩瀬まるさん最新作。男の社会的規範、女の社会的規範、夫婦のディスコミュニケーション、踏み込まず、どこにもいけない関係性の鬱屈した感じを「突如として、人が森になる」という幻想的事象と共に描き出していく小説で、シンプルにおもしろい。 中心となるのは埜渡徹也(のわたり・てつや)という男性作家と、その妻の流生きの二人である。彼は妻の流生(るい)とのことをフィクションとして描いた『涙』でヒットを飛ばして一躍有名になったのだが、ある時、その流生が草木の種を食べてしまったことをきっかけに、体から発芽してしまう。最初、物語は埜渡の担当編集瀬木口の視点から展開していくので、実際に発芽している流生を見て「なんじゃこりゃあ!」と死ぬほど驚くのだが(当たり前だ)、流生は病院には行