24時間365日、生産ラインを止めずに稼働し続ける--。こうした生産性へのこだわりが、皮肉にも工場をウイルスの住処にしている。ウイルス感染の被害が急増する工場の実態に迫る。 うちの工場、ウイルスを「飼っている」んです――。 産業用ロボット大手・安川電機の持ち分法適用会社でソフトウエア開発を手掛けるYE DIGITAL(旧安川情報システム)の寺西輝高マーケティング本部担当課長は、中小の工場経営者からこんな言葉をよく聞く。ウイルスとはコンピューターウイルスのことだ。 「工場の機械がウイルスに感染していることは知っている。きちんと動いているのでそのままにしているが、大丈夫だろうか」と相談される件数が最近増えた。 「気持ちはよく分かる」と寺西課長は言う。なぜなら工場は24時間365日稼働が基本だからだ。稼働している設備を止めるのはよほどの事故のときだけである。しかも生産設備を見ているのは生産技術の