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ブックマーク / book.asahi.com (10)

  • 「幻の作家」山尾悠子さん1万字インタビュー 幻想小説というレッテルなら作家でいられるかも |好書好日

    文・写真 山崎聡 火が燃えにくくなった世界を舞台に、前半部「Ⅰ 飛ぶ孔雀」と、書き下ろしの後半部「Ⅱ 不燃性について」からなる連作長編。前半部の主舞台は、蛇行した川のなかにある川中島Q庭園。天守閣を借景とした4万坪の池泉(ちせん)回遊式庭園で真夏の大茶会が開かれ、多くの人々が集う。濃い緑の芝に緋毛氈(ひもうせん)と野だて傘。夜は電飾で一面が光の海と化し、パレードの楽隊が大音量で行進する――。散文詩のような文体でつづられる光景が、徐々に物語の予兆をはらむ。 ――『飛ぶ孔雀』の前半部は自身初めての文芸誌掲載でした。 私は40年ぐらい前に(執筆を)スタートした人間で、途中で育児休暇みたいなブランクが長かったりするんですけれども、とにかく40年前に世に出た時といまとは、まったく状況が違っていたんですよね。たまたまご縁があってSFの場所から出たのですけれど、ほぼ最初に書いた「夢の棲む街」がSF専門誌

    「幻の作家」山尾悠子さん1万字インタビュー 幻想小説というレッテルなら作家でいられるかも |好書好日
  • コラム別に読む : 動物の倫理 伊勢田哲治さんが選ぶ本 - 伊勢田哲治(科学哲学・倫理学) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    ■人間よりも命が軽いのか ケネディ駐日大使が「米国政府はイルカの追い込み漁に反対します」と発言し波紋を呼んでいる。それと前後して、コンビニエンスストアがフォアグラを使った弁当の発売を中止したことも報道され、西洋流の動物倫理思想についての注目が集まっている。 ■「種差別」を告発 しかし欧米の動物倫理の基的な考え方や問題意識についてまではうまく伝わっておらず、生産的な議論ができていない面も感じられる。 まず、M・ベコフ『動物の命は人間より軽いのか』(藤原英司、辺見栄訳、中央公論新社・1785円)は生物学者による動物の権利論の紹介で、平易な口調でさまざまな領域で何が問題になっているかが語られる。 動物の権利論の核心にあるのは、スピーシーシズム(種差別)、つまり生物種が異なれば別扱いしていいというのは差別にほかならないという考え方である。動物は自分ではその差別を告発できない。だからこそ、動物につ

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  • 「HHhH―プラハ、1942年」書評 迷いや不安と共に、歴史を物語ること|好書好日

    HHhH―プラハ、1942年 [著]ローラン・ビネ 歴史小説と呼ばれるジャンルは、我が国の出版界においても、一大マーケットを築いている。それは事実と関係しているが、しかしノンフィクションではない。歴史小説の作者は、資料や記録を駆使して、過去に実際に起こった出来事を描き出す、あるいは物語る。そう、それもやはり物語なのだ。つまり歴史小説に描かれた「歴史」は、当然のことながら、ほんとうの事実とは違っているし、あちこちに穴が開いている。明らかに出来なかった欠落を、作者は自らの想像力や推論によって埋めてゆく。むしろそこにこそ歴史小説を書く、そしてそれを読む醍醐味(だいごみ)があるのだと言ってもいいかもしれない。 だが、この小説の語り手である「僕」は、自分にそのような「作者の横暴」を許すことが出来ない。彼が書こうとしているのは、1942年のプラハで実際に起こった、ユダヤ人大量虐殺の発案者にして責任者で

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  • 「ミシンと日本の近代」書評 小さなモノに光、大きな歴史照射|好書好日

    ミシンと日の近代―消費者の創出 [著]アンドルー・ゴードン [訳]大島かおり 米国の「知日派」というと、最近は外交・安全保障の専門家のみ注目されがちだが、著者は歴史研究における筆頭的存在だ。 ある日、彼は、ふと1950年代の日の既婚女性が毎日2時間以上も裁縫に費やしていた事実を知り驚愕(きょうがく)する。それが今回の知的探究の出発点となった。 ふつうの日家庭に入った最初のミシンはジョン万次郎が母親へ贈ったもの。シューイングマシネ(縫道具)がマシネと略され、さらに2音節に縮まって「ミシン」となった。 その出現は〈洋裁〉と〈和裁〉という新語を生み、キモノを〈洋服〉に対する〈和服〉とし、〈日〉と〈西洋〉が対峙(たいじ)する独特の世界観を固着化した。 とりわけ「世界初の成功した多国籍企業」と称される米シンガー社の家庭用ミシンは10年代までに日でも無敵の存在となった。それはまた「セールスマ

    「ミシンと日本の近代」書評 小さなモノに光、大きな歴史照射|好書好日
  • 本の記事 : 国会図書館、ネット公開一部中止 仏教経典、抗議受け - 赤田康和 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    著作権が切れ、誰でも中身を公開できるなのに、国立国会図書館が、出版社の抗議を受けて、インターネット上での無料公開を一時中止した。図書館には国民の知へのアクセスを助けるという役割もあるのに、法的な裏付けのない抗議に応じたのはなぜか。 問題になったのは、仏教の経典を集めた全88巻の『大正新脩大蔵経』。編者の高楠順次郎氏の死後50年が過ぎ、1995年末に著作権は消滅。国会図書館は全ページをスキャンする電子化を進め、2007年に37巻分、今年2月に残りの51巻分をネット公開した。 同書の紙のは大蔵(だいぞう)出版が刊行したものが、今も販売されている。全巻セットだと約156万円。同社は「無料公開されたことで年間1千万円以上の売り上げが3分の1程度に減った」として、6月、中小出版社でつくる団体・日出版者協議会と共に、国会図書館に公開中止を申し入れた。 同館は公開を一時中止し約3カ月後に最終判断す

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  • http://book.asahi.com/ebook/master/2013031100005.html

  • 本の記事 : 法哲学者ドウォーキン氏を悼む 長谷部恭男・東京大教授 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    14日、81歳で亡くなったロナルド・ドウォーキンは現代の法哲学・政治哲学界に屹立(きつりつ)する巨人である。革新的かつ論争的なスタイルで英米圏のリベラルな思潮を主導し、合衆国最高裁の動向にも大きな影響を与えた。 アイザイア・バーリンやジョン・ロールズ等のリベラリズムの主流は、価値の多元性を強調し、多様な世界観の公平な共存を提唱する。これに対してドウォーキンは、価値の世界は全体として整合していると言う。自由と平等、社会生活の道徳と個人的倫理とは衝突しない。何が責任ある態度か、何が正しい政策か、すばらしい人生とは何かは、すべて矛盾なく支え合っている。人が自分の生を意味あるものとして生きるには、すべての価値は統一された姿で捉えられなければならない。 1977年に出版された最初の論文集『権利論』は、支配的思想であった法実証主義と功利主義を根底的レベルで批判した。法実証主義によれば、法は社会的事実で

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  • 「一四一七年、その一冊がすべてを変えた」書評 教会も受容した死を超える快楽|好書好日

    一四一七年、その一冊がすべてを変えた 著者:スティーヴン・グリーンブラット 出版社:柏書房 ジャンル:エッセイ・自伝・ノンフィクション 【ピューリッツァー賞ノンフィクション部門(2012年)】【全米図書賞】長い間失われていた写。そこにはきわめて危険な思想が記されていた。千年の時を経た15世紀、再びその姿… 一四一七年、その一冊がすべてを変えた [著]スティーヴン・グリーンブラット イタリア・ルネサンスの大物が活躍する半世紀ほど前の15世紀初頭、教皇秘書として古典写の蒐集(しゅうしゅう)翻訳に携わったポッジョ・ブラッチョリーニが、立場を逸脱してまで救済した一冊の「超奇書」にまつわる歴史物語である。 込み入った内容だが、逸話やイメージを随所に提示する手法のおかげで、流れの勘所を見失う不安はない。たとえば巨匠ラファエロの大フレスコ画「アテナイの学堂」が出てくる。古代ギリシャからアジアに及ぶ多

    「一四一七年、その一冊がすべてを変えた」書評 教会も受容した死を超える快楽|好書好日
  • 本の記事 : 日本人初? 「コボ」「キンドル」でデビューした新人作家が1位を獲得するまで - 林 智彦 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    「koboイーブックストア」の「ジーン・マッパー」購入ページ。同書は複数ジャンルで上位ランク入りしている 著者が立ち上げた「Gene Mapper(ジーン・マッパー)」専用サイト。電子書籍はここから直接購入もできる。コボ、キンドルの両ストアへのリンクもある。 7月19日にサービスを開始したネット通販大手・楽天電子書籍サービス「コボ」の書店で、これまで見たことがない著者の書籍が、複数ジャンルのランキング上位に入っているのを見つけた。作品の名前は「Gene Mapper(ジーン・マッパー)」、著者は「藤井太洋」。出版社名に「Taiyo Lab」とあることから、自己出版(出版社や編集者を介在させずに電子書籍を書き、売ることをいう)ではないかと推察できた。 8月22日時点で、同作は「SF」ジャンルの16位、「ハイテク」ジャンルと「科学技術」ジャンルでは1位にランクインしている(ただしその後、著者

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  • 「有害コミック撲滅!」書評 文化破壊を恐れヒーローも悪に|好書好日

    有害コミック撲滅! アメリカを変えた50年代「悪書」狩り 著者:デヴィッド・ハジュー 出版社:岩波書店 ジャンル:マンガ評論・読み物 1950年代前半、アメリカで有害コミックが一掃され、900人近い原作者や作画家たちが追放された。当時の関係者に取材し、全容を詳細に解明する。日の悪書追放運動との関連を考… 有害コミック撲滅!―アメリカを変えた50年代「悪書」狩り [著]デヴィッド・ハジュー 1950年代にアメリカン・コミックは撲滅運動に襲われた。この問題を、同時期に発生した「赤狩り」旋風と比較しながら論じたのが、書のおもしろさである。 この時期アメリカは青少年に害をなす「悪い文化」を排除しようとした。ターゲットになったのが共産主義と漫画だった。両者に何か共通点があったのか。著者によると、赤狩りは共産主義かぶれのインテリ層を狙い撃ちにし、他方コミック撲滅は愚かな俗悪文化の浸透から保守エリー

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