【今回の歌】 権中納言敦忠(43番) 『拾遺集』恋二・710 逢ひ見ての のちの心に くらぶれば 昔はものを 思はざりけり ゴールデンウィークが近づいてきました。あなたはどこかへ出かけるのでしょうか?遊びに出るとしたら誰と出かけますか。恋人と?春は恋の季節、たとえ独りであっても、行く先のあちこちで偶然の出会いというものはあるものです。今回ははじめて想いを遂げることができて、いっそうつのる恋心の歌をご紹介しましょう。 現代語訳 恋しい人とついに逢瀬を遂げてみた後の恋しい気持ちに比べたら、昔の想いなど、無いに等しいほどのものだったのだなあ。 ことば 【逢ひ見ての】 「逢ふ」も「見る」も、男女が逢瀬を遂げたり、契りを結ぶ意味で使われる動詞です。 【のちの心】 逢瀬を遂げた後の気持ちです。今現在の心のことですね。 【くらぶれば】 「比べると」の意味で、動詞「くらぶ」の已然形に接続助詞「ば」がついた