※前回の記事はこちら 世界的作家であるイシグロさんは、その作品が翻訳され、自国のみならず、文化も風習も違う国で読まれることも多い。そのことは、創作にどんな影響を与えているのだろうか。 第2部のゲストとして、英米文学研究者・翻訳家の柴田元幸さんと、『忘れられた巨人』の翻訳者である土屋政雄さんを迎え、イシグロさんは世界的作家である故の苦労やこだわりについて語り、さらに作家を目指す若者たちへもメッセージを送った。 肩越しに覗き込むデンマーク人? 第2部の口火を切ったのは柴田さん。「小説を書くときに、自分の作品が色々な言語に翻訳されることは意識しますか?」と質問する。 イシグロさんは、自身が「作品が世界に流通し、読まれることを意識している世代の作家」に属していると話し、「何かを書くとき、登場人物やその舞台について、他国の翻訳家や読者に分かるのだろうか? うまく翻訳されないかもしれない、と以前は心配