本稿の筆者を含む8人の著者陣は2016年、ITpro(現日経クロステック)において「ブロックチェーンは本当に世界を変えるのか」というタイトルの連載を始めた。黎明(れいめい)期にあったブロックチェーン技術の基礎を解説するとともに、ブロックチェーン技術が世の中をより良くする形で普及するために解決すべき課題を論じた。 この連載はのちに「ブロックチェーン技術の未解決問題」という形で2018年に書籍化され、発行直後に発生したコインチェック事件につながる解説などで注目を集めた。この書籍はまもなく中国語と韓国語に翻訳され、さらに2021年には独Springer(シュプリンガー)より英語版(タイトル『Blockchain Gaps』)が出版された。 当時の連載で議論の対象としたのは主にBitcoin(ビットコイン)が実現した技術だった。2016年時点でEthereum(イーサリアム)は稼働していたが、今日
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