今本屋に平積みされているアセモグル&ロビンソン『自由の命運』(上・下)は、前著『国家はなぜ衰退するのか』の足らざるところを相当程度補ってくれる本ではありました。とりわけ、ホッブズが描いたそもそも怪物を必然たらしめる「不在のリヴァイアサン」と、その怪物に振り回される「専横のリヴァイアサン」のはざまの「狭い回廊」としての「足枷のリヴァイアサン」という図式は、正直言うと政治思想史の常識だよな、という気持ちもありつつ、こういう形できれいに図式化してくれると、大変わかりやすいよなと思うし、とりわけある種の経済学に凝り固まってしまった人が、そもそもの「不在のリヴァイアサン」の悲惨さに対する想像力が見事に欠落してしまっていた経験(後述の過去エントリ参照)からすると、一般向けの経済学の教科書を書いている名の通った経済学者がこういう本で啓もうしてくれるのは大変いいことだと思ったところです。 多分、新型コロナ