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ブックマーク / www.technologyreview.jp (20)

  • AIが「心の理論」テストで人間超え、この結果は何を意味するか

    人工知能(AI)モデルが、人間の感情理解力を測るテストで人間並み、時に上回る成績を収めたことが分かった。ただ、訓練データにそうしたタスクが含まれていた可能性も否定できず、大規模言語モデルが「人のように」考えているわけではない。 by Rhiannon Williams2024.05.22 275 23 人間は複雑な存在だ。私たちのコミュニケーションの方法は多層的であり、心理学者たちは対話から意味や理解を推測する能力を測るためのテストを数多く考案してきた。 人工知能AI)モデルは、こうしたテストでますます優れた結果を出している。ネイチャー・ヒューマン・ビヘイビア(Nature Human Behavior)に5月20日に掲載された新たな研究によると、一部の大規模言語モデル(LLM)は人の心理状態を追跡する能力(いわゆる「心の理論」と呼ばれる)を測るために設計されたタスクを与えられた場合、人

    AIが「心の理論」テストで人間超え、この結果は何を意味するか
  • 大地震直前に観察される電離層異常、発生メカニズムを京大が提案

    京都大学の研究チームは、大地震発生直前に観察される震源付近の電離層上空の電磁気学的異常の発生を説明する物理メカニズムを提案。同メカニズムに基づいて、電離層への影響を大気の静電容量によってモデル化し、モデルから予測される生成電場の大きさと観測されている地震発生前の電離層の伝搬異常の速度変化に整合性があることを示した。 最近の大きな地震の震源付近の地質調査から、プレートの境界面には、すべりやすいスメクタイトなどの粘土質が存在しており、水分も含まれている可能性が報告されている。京大の研究チームによると、その粘土質の破砕層内部にある水が地震発生前の高温高圧下で超臨界状態になり、絶縁性となって比誘電率が大きく低下することで、摩擦などで電荷が発生。この電荷によって破砕層間の電圧上昇が起こり、この電圧上昇分が大気の静電容量を介して電離層に伝わるという。 同チームは、このとき破壊層に蓄えられる電荷とエネル

    大地震直前に観察される電離層異常、発生メカニズムを京大が提案
  • 東北大など、磁石に潜む「電子の宇宙」の室温制御に成功

    東北大学、日原子力研究開発機構の共同研究チームは、電子の量子状態が持つ「電子の宇宙」に相当する量子計量を、室温、卓上の磁性体中で実験的に制御することに成功。従来法則から外れた特異な電気伝導を検出し、これが制御された量子計量の証拠であることを解明した。一般相対性理論の効果として、強い重力の働く宇宙空間では直進する光の経路が、「計量」と呼ばれる、時空のひずみに沿って曲がることが知られており、同様の現象が、物質中の電子の流れである電気伝導でも見られると理論的に予測されている。 研究チームは今回、スピン(個々の原子が持つ磁気)が三角形状に配位し、全体として磁力は持たないが、磁力を示す物質と類似した電気伝導の特性を持つとして注目されている「カイラル反強磁性体」に着目。カイラル反強磁性体の一種であるマンガン・スズ合金(Mn3Sn)と白金(Pt)の積層薄膜において、非オーム的な電気伝導の一種である「非

    東北大など、磁石に潜む「電子の宇宙」の室温制御に成功
  • オープンAI、グーグルはなぜAIの「数学」能力を競うのか?

    ディープマインドが先日、複雑な幾何学問題を解けるAIを発表し、話題になった。AI企業はなぜ、数学に注目しているのか。 by Melissa Heikkilä2024.01.29 3 10 この記事は米国版ニュースレターを一部再編集したものです。 AI業界は最近、グーグル・ディープマインド(DeepMind)が学術誌のネイチャー(Nature)に発表した新しい論文で盛り上がった。複雑な幾何学問題を解くことができるAIシステムの開発に成功した、という論文だ。「アルファジオメトリー(AlphaGeometry)」と命名されたこのシステムは、言語モデルと記号エンジンと呼ばれるタイプのAIを組み合わせたもので、記号と論理ルールを使用して推論を実行する。こちらで、アルファジオメトリーについて詳しく知ることができる。 AIの世界が数学で盛り上がるのは、この数か月で2回目だ。昨年11月、サム・アルトマンが

    オープンAI、グーグルはなぜAIの「数学」能力を競うのか?
  • アルツハイマー病の原因物質が毒性を示す過程の実時間観察に成功

    東京農工大学と三重大学の共同研究チームは、アルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβが人工細胞膜中で毒性を持つ構造に変化する様子をリアルタイムに観察することに成功。膜中のコレステロールが毒性構造への変化を促進することや、カテキンが毒性構造を阻害することを見い出した。 アミロイドβ(Aβ)は凝集性が高く、単量体(モノマー)から中間体の重合体(オリゴマー)を経てアミロイド線維を形成する。中でもAβオリゴマーに強い細胞毒性があることがわかっている。オリゴマーの細胞毒性機構の一つとしてチャネル(細胞膜を貫通する孔)形成があり、神経細胞膜中に孔を開けることで細胞死を引き起こすが、これまでAβが膜中でモノマーからオリゴマーに凝集していく過程は確認されていなかった。 研究チームは、マイクロデバイスを用いたチャネル電流計測によって、Aβモノマーが脂質膜(人工細胞膜)中で凝集してチャネルを形成していく過程

    アルツハイマー病の原因物質が毒性を示す過程の実時間観察に成功
  • 治療新時代を拓く医療用マイクロロボットはいつ実現するか?

    体内の細い血管などを動き回り、身体の内部から病気を治療する医療用マイクロロボットは何年も前から期待されているが、まだ実用化されていない。「もうすぐ」との見方を示す専門家に動向を聞いた。 by Cassandra Willyard2023.12.20 1 5 この記事は米国版ニュースレターを一部再編集したものです。 人間の体内は、血管などの管が迷路のように入り組んでおり、突破困難な障壁があちこちにある。このことは、医師にとっては大きな障壁となる。病気の原因が、視覚では確認しづらく、手が届きにくいところにあることもよくある。しかし、たくさんの超小型ロボットを体内に配備して、そのような作業を任せることができたらと想像してみてほしい。到達が難しい部位にある血栓を溶かしたり、ほぼ到達不可能な場所にある腫瘍に薬を運搬したり、さらには胚を着床に導いたりすることさえできるかもしれない。 読者の皆さんが今、

    治療新時代を拓く医療用マイクロロボットはいつ実現するか?
  • 日本語に強い大規模言語モデル「Swallow」 東工大ら公開

    東京工業大学と産業技術総合研究所の共同研究チームは、生成AI(ジェネレーティブAI)の基盤となる、日語能力に優れた大規模言語モデル「スワロー(Swallow)」を公開した。同モデルは現在公開されている日語に対応した大規模言語モデルとしては最大規模であり、オープンで商用利用が可能であるため、ビジネスに安心して用いることができるという。 研究チームは今回、英語の言語理解や対話で高い能力を持つメタのオープンな大規模言語モデル「ラマ(Llama)2」の日語能力を拡張することでSwallowを構築した。Llama 2は事前学習データの約90%を英語が占めており、日語の割合は全体の約0.10%に留まるため、英語で高い性能を示すにも関わらず、日語の読み書きは苦手という弱点がある。 そこで同チームは、非営利団体のコモンクロール(Common Crawl)が配布しているアーカイブから日語のテキス

    日本語に強い大規模言語モデル「Swallow」 東工大ら公開
  • 幻の素粒子「マヨラナ粒子」の量子テレポーテーション現象を解明

    大阪大学、東京大学などの共同研究チームは、特殊な磁性体中に存在する「マヨラナ粒子」の量子もつれを利用した、量子テレポーテーション現象を理論的に解明した。 素粒子の1つとして1937年に理論提案されたマヨラナ粒子は、電気的に中性で、粒子と反粒子が同一という性質を持つとされているが、実験的にはまだ発見されていない。特殊な磁性絶縁体中では、強い量子もつれ状態として実現することが予言されているが、それを実験で測定する方法は不明であった。 研究チームは今回、物質中のマヨラナ粒子の量子もつれを介して、遠く離れた2つの電子スピンが互いに情報をやりとりする量子テレポーテーション現象が起こることを、解析的な理論計算と数値シミュレーションを組み合わせることで解明。さらに特殊な顕微鏡を用いることで、この現象が電気的に測定可能であることを示した。この測定は、物質中のマヨラナ粒子の探索や、物質中のマヨラナ粒子を用い

    幻の素粒子「マヨラナ粒子」の量子テレポーテーション現象を解明
  • ゼロ磁場下での超伝導ダイオード効果の磁化制御に成功=京大など

    京都大学などの共同研究チームは、超伝導体、強磁性体、重金属を含む極性超格子において、ゼロ磁場下において、ある方向に電流を流した場合には超伝導状態になり、逆向きの電流の場合には常伝導状態になる「超伝導ダイオード効果」の効率が40%を超えることを観測。さらに、ゼロ磁場下における超伝導ダイオード効果の磁化制御に成功した。 研究チームは今回、ニオブ(Nb)層、バナジウム(V)層、タンタル(Ta)層、プラチナ(Pt)層、鉄(Fe)層を含む極性構造を有した超格子試料を細線形状に微細加工し、電気抵抗を測定。超格子面内かつ電流と直交する方向に外部磁場を印加し、強磁性体である鉄に由来する磁化の方向を変化させながら、電気抵抗の直流電流依存性を調査した。 その結果、この超格子では超伝導と強磁性が共存するだけでなく、超格子の臨界電流密度(超伝導体に流すことができる最大の電流密度)が磁化と印加電流の方向によって異な

    ゼロ磁場下での超伝導ダイオード効果の磁化制御に成功=京大など
  • 土星の衛星で生命必須元素リンの異常濃集を発見=東工大など

    東京工業大学などの国際共同研究チームは、日欧米の連携によって、土星の第2衛星である「エンセラダス」の海に、地球生命の必須元素であるリンが地球海水の数千から数万倍という高濃度で濃集していることを明らかにし、その要因を特定した。土星の氷衛星の1つであり、直径500キロメートル程度の天体であるエンセラダスは、内部に液体の地下海を持ち、生命を育む熱水噴出孔や複雑な有機物も存在することから、生命存在可能な条件を満たす天体として注目されている。 欧米チームは、1997年に打ち上げられ、2004年に土星系に到着したNASAの土星系探査機「カッシーニ」に搭載されたダスト分析器のデータから地下から噴き出した海水中にリン酸を含む粒子が含まれることを発見。エンセラダスの地下海にリン酸が1~20mmol/L(1リットルの水に1000分の1~20モル)と、地球海水の数千倍から数万倍の高濃度で含まれていることを明らか

    土星の衛星で生命必須元素リンの異常濃集を発見=東工大など
  • 巨大ブラックホールを取り巻く降着円盤とジェットを初めて撮影

    国立天文台などの研究者が参加する国際研究チームは、波長3.5ミリメートル帯で観測する地球規模の国際電波望遠鏡ネットワークを用いて、楕円銀河M87の中心部を詳しく観測。巨大ブラックホールを取り巻く降着円盤の撮影に初めて成功するとともに、ブラックホールが噴出するジェットの根元の構造をこれまでで最も高い視力で捉えた。巨大ブラックホールに落ち込むガスから膨大な重力エネルギーが解放される現場を、初めて直接的に捉えたものであり、ジェットの駆動メカニズムの解明に寄与することが期待される。 研究チームは今回、グローバルミリ波VLBI(超長基線電波干渉法)観測網(GMVA)と呼ばれる地球規模の国際電波望遠鏡ネットワークを主に用い、2018年4月14日から15日にかけてM87の中心部を詳細に観測した。今回の観測では、チリのアルマ望遠鏡とグリーンランド望遠鏡が新たにネットワークに加わったことから、従来のGMVA

    巨大ブラックホールを取り巻く降着円盤とジェットを初めて撮影
  • 脳スキャンで話し言葉を解読、非侵襲型BCIでは初

    テキサス大学の研究チームは、非侵襲性の脳コンピューター・インターフェイスを使って、考えていることを文章にする実験に成功した。同時に、脳の解読がもたらすプライバシーへの影響についての懸念を表明している。 by Rhiannon Williams2023.05.03 4 5 人の思考を言葉に変換できる非侵襲性の脳コンピューター・インターフェイス(BCI)は、いずれ脳卒中などの疾患や、筋萎縮性側索硬化症(ALS)を含むさまざまな病状によって発語能力を失った人々を助けられるかもしれない。 ネイチャー・ニューロサイエンス(Nature Neuroscience)誌に掲載された、テキサス大学オースティン校の研究によると、磁気共鳴機能画像法(functional magnetic resonance imaging:fMRI)を元に訓練されたモデルは、3人の被験者をfMRIでスキャンして脳活動を見るだけ

    脳スキャンで話し言葉を解読、非侵襲型BCIでは初
  • 京大、霊長類の多能性幹細胞から卵母細胞の誘導に成功

    京都大学の研究チームは、ヒトのモデルとしてカニクイザルの胚性幹細胞(ES細胞)から、減数分裂期の卵母細胞(卵子になる前の雌性生殖細胞)を試験管内で誘導することに成功。種々の解析により、当培養方法で得られた卵母細胞が、サル胎児卵巣の卵母細胞と類似していることを示した。 研究チームは、カニクイザルES細胞由来の始原生殖細胞様細胞(生殖細胞の起源にあたる細胞に非常によく似た細胞)をマウス胎児の卵巣体細胞と凝集させたのち「気相液相界面培養」を実施。そこから得られる卵原細胞(胎児期のごく初期に見られる雌性生殖細胞)を新たにマウス胎児の卵巣体細胞と再び凝集させ、気相液相界面培養したところ、約4カ月で減数分裂期の卵母細胞が誘導されることがわかった。 さらに、サル再構成卵巣法より得た卵母細胞の単一細胞遺伝子発現解析を実施し、この細胞がカニクイザル胎児卵巣の減数分裂期卵母細胞と類似していることを確認した。研

    京大、霊長類の多能性幹細胞から卵母細胞の誘導に成功
  • チタンとバナジウムの中性子過剰同位体で新魔法数の消失を観測

    高エネルギー加速器研究機構や理化学研究所(理研)などの国際共同研究チームは、理研の重イオン加速器施設「RIビームファクトリー(RIBF)」を用いて、中性子過剰なバナジウム(V)およびチタン(Ti)の同位体の高精度質量測定に成功。中性子数34という新魔法数がチタンとバナジウムの同位体において消失していることを見い出した。 原子核にはある特定の陽子数や中性子数で特に安定な原子核になる「魔法数(28、50、82など)」が存在する。さらに、近年の加速器の実験により、極端に中性子数が多いエキゾチック原子核(不安定核)を持つ同位体では「新魔法数(16、32、34など)」が出現することが分かってきた。 今回の研究は、RIBFの超伝導RIビーム生成分離装置(BigRIPS)で生成された高速RI(放射性同位元素)ビームが他の実験で使われた後のビームを用いた、共生実験として実施された。同ビームを低速RIビーム

    チタンとバナジウムの中性子過剰同位体で新魔法数の消失を観測
  • 細胞の血行性転移の仕組みを発見、がん転移抑止に期待

    九州大学、京都大学、東北大学などの共同研究チームは、体内の別の場所に転移する細胞(転移細胞)は、血中で硬くなり、細い血管に「挟まって(つまって)」しまうことで、毛細血管から血管の外へと遊出することを初めて発見した。 がん疾患を最も高い死因に押し上げている要因は、がん細胞が転移をするためだが、血管に侵入して遠隔に移動したがん細胞がどのようにして毛細血管から血管外へと遊出するかは分かっていない。研究チームは、鳥類の生殖細胞は胚の時期、血管の中を移動路として用いる「血行性転移」をするという点で、転移性がん細胞と同じ振る舞いをすることに注目。転移細胞の血管外への遊出を解析するうえでの優れたモデルになると考え、ニワトリ胚の生殖細胞の血管中での動きについて研究観察を進めた。 その結果、(1)多くの生殖細胞が特定の毛細血管領域まで流れてくるとその血管に挟まってしまうこと、(2)生殖細胞は血球細胞よりも4

    細胞の血行性転移の仕組みを発見、がん転移抑止に期待
  • 新型コロナ、スパイクタンパク質の弱点を発見=東京理科大など

    東京理科大学、東北大学、国立感染症研究所の研究グループは、新型コロナウイルスが持つスパイクタンパク質の活性化に必要なアミノ酸残基を同定した。この残基を別のアミノ酸残基に変異させると、感染機能が失われることが分かったという。 研究グループはこれまでに、スパイクタンパク質の488番目のシステイン残基(C488)が、新型コロナウイルスの感染において重要な役割を果たすことを明らかにしている。今回の研究では、C488の変異がスパイクタンパク質の活性化と細胞外への分泌に与える影響を調べた。 C488に変異を持つスパイクタンパク質の細胞内局在を解析した結果、スパイクタンパク質の分泌装置や細胞表面への局在化が低下していた。また、C488変異体を培養細胞で発現させ、タンパク質分解酵素で処理すると、切断されるスパイクタンパク質の量が著しく減少していたという。さらに、小胞体からゴルジ体への細胞内移行を薬剤で阻害

    新型コロナ、スパイクタンパク質の弱点を発見=東京理科大など
  • 老化細胞の蓄積機構の一端を解明、抗老化治療に新戦略=東大など

    東京大学と金沢大学などの共同研究チームは、老化や加齢性疾病発症・病態進展に伴い老化細胞が生体内の様々な臓器や組織に蓄積するメカニズムの一端を明らかにし、「抗PD-1抗体」による老化細胞の除去が新たな抗老化治療の有望な戦略になりうることを見い出した。 研究チームは今回、以前に同チームが樹立した老化細胞可視化マウスを用いた一細胞レベルでの老化細胞を解析し、老化細胞が、T細胞機能を抑制するタンパク質(免疫チェックポイントタンパク質)である「PD-L1」を不均一に発現していることを発見。PD-L1陽性老化細胞が生体内で加齢とともに蓄積することや、過剰なタンパク質凝集体の形成や強い炎症機能を有していることを明らかにした。 さらに、PD-L1陽性細胞が、体内の免疫応答を担うT細胞による免疫監視に抵抗性を示すことも発見。T細胞の活性化を維持する「免疫チェックポイント阻害剤」の一つである抗PD-1抗体を自

    老化細胞の蓄積機構の一端を解明、抗老化治療に新戦略=東大など
  • 量子光を自在に制御、シュレディンガーの猫状態を生成=東大など

    東京大学などの共同研究チームは、あらゆる量子光を所望のパルス波形で出力する光源である「量子任意波形発生器(Q-AWG:Quantum Arbitrary Waveform Generator)」を提唱。その核心となる技術である量子光のパルス波形を自在に制御する手法を開発し、大規模光量子コンピューターの作動に必要となる、特殊なパルス波形を持つ量子光の生成に初めて成功した。 研究チームは、量子もつれを介してパルス波形を自在に制御する新しい手法を考案した。光1と光2に量子もつれがある場合、光2を光子検出器に入射すると、光子が検出されたタイミングで光1側に狙った量子状態が生成される。光子検出器の前に光フィルターを設置することで、生成される量子光のパルス波形を指定する仕組みである。同チームは、量子もつれのある光の周波数帯域を広くすることで波形制御の分解能を上げ、任意のパルス波形を実現した。 この方法

    量子光を自在に制御、シュレディンガーの猫状態を生成=東大など
  • 核融合を阻害する低速ヘリウムの選択的排出条件を発見=量研など

    量子科学技術研究開発機構などの国際共同研究チームは、核融合反応を促進する高速ヘリウムによるプラズマ加熱と、核融合反応を阻害する低速ヘリウムの炉心からの排出を両立できる条件を世界で初めて明らかにした。核融合炉の性能向上に向けた制御手法の開発につながることが期待される。 研究チームは、欧州の核融合研究機関コンソーシアムであるユーロフュージョン(EUROfusion)および東京大学との国際共同研究を実施。欧州の核融合実験装置「ジェット(JET)」で生成されたプラズマの高速ヘリウムおよび低速ヘリウムの振る舞いに関する実験結果を、核融合専用スーパーコンピューター「JFRS-1」の数値実験で解析した。その結果、プラズマに流す電流の分布を最適化することで、低速ヘリウムを排出するのと同時に、高速ヘリウムを炉心に閉じ込める可能性を初めて示した。 核融合炉では、重水素と三重水素を燃料とする核融合反応で生成され

    核融合を阻害する低速ヘリウムの選択的排出条件を発見=量研など
  • メタ、「GPT-3並み」の大規模言語モデルを研究者向けに無償提供

    メタ(旧フェイスブック)AIラボは、自社開発した大規模言語モデル「OPT」を研究者向けに無償で提供を開始した。オープンAIの「GPT-3」と同じパラメーター数を持つ。同モデルの構築方法や訓練方法の詳細も公開しており、巨大テック企業の取り組みとしては異例だ。 by Will Douglas Heaven2022.05.09 56 11 メタ(旧フェイスブック)AIラボは、オープンAIOpenAI)の先駆的なニューラル・ネットワーク「GPT-3」の驚くべき能力と有害な欠陥の両方を継承する新しい大規模言語モデル「OPT(Open Pretrained Transformer)」を作成し、研究者向けに提供を開始した。同モデルの構築方法や訓練方法の詳細も公開する。巨大テック企業の取り組みとしては異例のことだ。 「自社の研究を他者が精査できることは、研究にとって重要なことだと強く思っています。他の研

    メタ、「GPT-3並み」の大規模言語モデルを研究者向けに無償提供
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