期限切れ GOTH 夜の章 (角川文庫) 食品に賞味期限があるように、割引券にも有効期限があるように、小説にもそれを読むのに適切な時期というのはある。「GOTH」を読んだ僕が今ひとつ衝撃を受けなかったのはこの時期がもう過ぎていたからだと思われる。ページをめくるたびに興奮できる共感できる感動できる、そんな感覚を味わうことはもうできない。非常に残念だ。 作中には主人公の心理描写があまりない。そのため彼が知的でクールでスマートな存在にできあがってしまっているが現実にはこんな人間はいるわけがなく悩むし恋するし勉強もする。僕が高校生のころ思い描いた理想の自分に割と似ていて恥ずかしくなってくる。そう、これは理想と現実の線引きがあいまいな中高生の頃に読んでおけばよかった小説だったのだ。くやしい。 ストーリーは高校生の"僕"と森野夜が身の回りで起こる事件に首をやたらめったら突っ込んでいくというのが大まかな