僕は食品会社の営業二課長。一課はまだない。弊社のホウレンソウは「放任」「連帯」「総括」。字面からだけだと日本赤軍を連想させる不穏なものだが、実際は、たとえば新たな仕事を与えられた人は指示や目標も支援もなく放置され、うまくいってあたりまえ、うまくいかなければ連帯した上層部から総括を迫られるのだから日本赤軍よりたちが悪い。 緊急会議が召集された。集められた会議室には社長直筆の社是「四面楚歌」が掲げられている。内容は5月からスタートした新規店舗の不振とテコ入れについてだ。その店舗は社長からのトップダウン案件。この話を社長が持ち出したとき、周りの全員が反対意見と暗い展望を示した。「売上が社長の予想ほどには…」「立地の条件が…」「私にはとても…」。それらは社長の「おもしろそうだから」鶴の一声でこの世に存在しないものとされた。はっきりと覚えている。社長が、「この店舗の全責任はオレがもつ」と力強く仰った