本書の冒頭には、こんな数字が紹介されている。 アメリカではダーウィンの進化論を信じている人は、国民の約4分の1にしかすぎず、一方、神による天地創造説を信じている人は4割にものぼる。 日本人にはにわかに信じがたいこの数字は、アメリカが現在なお、宗教国家であり続けていることを示しているようだ。したがって―― 〈米国はピューリタンの移民の時代から、基本的には宗教国家と言ってもいい。欧州でも日本でも、近代化が進むと社会から宗教の影響が薄れて世俗的になってきたが、アメリカはそうではない〉 と著者が語るように、宗教という視点を欠いたアメリカ論は、ニコチン抜きのタバコ、カフェイン抜きのコーヒーと同じで、ほとんど「論」の体をなさないはずだ。 本書は、アメリカの政治や社会を理解するうえで、最低限知っておきたいアメリカの宗教事情を「宗教右派」という視角から概説したものである。具体的には、アメリカのプロテスタン
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