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ブックマーク / himaginary.hatenablog.com (107)

  • なぜドイツではケインズ経済学が異端視されているのか? - himaginary’s diary

    10日エントリではサイモン・レン−ルイス経由でドイツハイパーインフレへの記憶に関する一つの見方を取り上げたが、そのエントリでレン−ルイスは、なぜドイツではケインズ経済学が異端となっているのか、と問うている。マクロ経済学の教科書は他国と同様にケインズ的であるにも関わらず、経済専門家委員会ではPeter Bofingerしかケインジアンがおらず、しかもこうしたケインジアンが少数派となっている状況はドイツでは普通であるとBofinger自身から聞いたという。ユーロ圏の緊縮政策がもたらした損害、および、それにドイツの政策観が果たした中心的な役割を受けて、レン−ルイスはこの疑問を長年抱いてきたとの由。 その理由としては、ハイパーインフレの記憶と債務を忌避する文化の2つが挙げられるが、レン−ルイスはいずれにも否定的である。というのは、いずれも公的債務が他国より低いことを含意するが、そうはなっていない

    なぜドイツではケインズ経済学が異端視されているのか? - himaginary’s diary
    laislanopira
    laislanopira 2015/06/13
    過去の反省の結果、きわめて保守的な経済思想に染まった
  • 建設業の人手不足は給与の上昇に結び付いたのか? - himaginary’s diary

    1週間ほど前に、ツイッター上で以下のようなやり取りを見掛けた。 https://twitter.com/cornwallcapital/status/601886936605700098:twitter https://twitter.com/nonowa_keizai/status/602303930521952256:twitter https://twitter.com/yhakase/status/602306214618234880:twitter 一方、5/18日付の日経朝刊のエコノフォーカスには以下の記述がある。 国交省によると、鉄筋工や左官などの技能労働8職種の3月の過不足率は、北海道や北陸に次いで東北も過剰に転じた。全国平均ではまだ不足状態だが、2014年3月をピークに不足率が縮小している。 14年の建設業の現金給与総額は1.4%増と、全産業平均の0.8%増を上回る高い伸

    建設業の人手不足は給与の上昇に結び付いたのか? - himaginary’s diary
  • 金融の発展し過ぎは経済成長に有害 - himaginary’s diary

    という主旨の論文を紹介したIMFブログ記事(著者はRatna Sahay、Martin Čihák、Papa N’Diaye)で、以下の図が掲げられている。 この図の横軸は独自に開発された「金融発展指数」であるが、興味深いことに、日が米国より金融が発展していることになっている。そしてそのことが、ある程度までは金融の発展は経済成長に有益であるが、行き過ぎると経済成長が低下する、ということを示す証左として使われている。 論文では、指数構築の概念図として以下が示されている。 また、各サブインデックスの構成要素としては、以下の変数が挙げられている。 金融制度[FINANCIAL INSTITUTIONS] 金融市場[FINANCIAL MARKETS] 深度[DEPTH] 1. 民間信用(GDP比%)[Private-sector credit (% of GDP)] 2. 年金資産(GDP比%

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  • 日本の経済学界をノーベル経済学賞に推薦する動きが表面化 - himaginary’s diary

    昨年、憲法九条を保持している日人をノーベル平和賞に推薦する動きがあったが、今年は、日経済学界をノーベル経済学賞に推薦する動きが出ている。その動きを掴んだ紙は、同運動を主唱する経済学者への直撃取材を試み、話を聞くことができた。 同氏は紙に次のように語った。「米国の経済学界では、ポール・クルーグマンをはじめとする古いケインズ経済学の尾っぽを引き摺った経済学者が、シカゴ学派をはじめとする真っ当な経済学者による厳しい批判にも関わらず、未だに幅を利かせている。日経済学界では、主流派経済学による淘汰と純化が徹底したため、米経済学界に見られるようなそうしたみっともない事態は金輪際起こり得ない。その点で日経済学界は世界をリードしていると言え、そうした純化の努力を通じた経済学への貢献は、ノーベル経済学賞に十分に値する。」 また同氏は「クルーグマンが推奨するような政策がこの日で実施されたこ

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  • ATMの普及と銀行の窓口係の仕事の変化 - himaginary’s diary

    ボストン大学のJames Bessenが、IMFのFinance and Developmentで、自動化の進展と雇用の関係について考察している(H/T Tim Taylor)。そこで彼は、ATMが普及したにも関わらず銀行の窓口係の職員数が増加した例を引き、自動化が必ずしも失業につながるとは限らない、と指摘している。 ATMに普及にも関わらず銀行の窓口係が増加した理由として、Bessenは以下の2点を挙げている。 以前より少ない人数で支店を開くことができるようになったので(平均的な都市部での支店当たりの窓口係の人数は1988年から2004年に掛けて20から13に減少した)、市場占有率を上げるために銀行がより多くの支店を開くようになった(都市部の支店は43%増加した)。 この点についてTaylorは、1980〜1990年代に州内や州外で支店を増やすことに関する規制が多くの州で緩和されたことも

    ATMの普及と銀行の窓口係の仕事の変化 - himaginary’s diary
  • 中央銀行は最終損益を気にすべきではない - himaginary’s diary

    とProject Syndicateでバリー・アイケングリーンが書いている(H/T Mostly Economics)。共著者はマインツ大学のBeatrice Weder di Mauro。 同論説ではまず、中央銀行の最終損益を気にしたことによって金融政策が変更された例として、先月のスイス国立銀行の為替相場ペッグ政策の放棄を挙げている。その政策変更の動機は完全に政治的なものであった、と論説では観測している。 スイス国立銀行は、昨年、金準備を20%にまで増やし、金融政策の自由度を減らそうという「金イニシアチブ」の論議に巻き込まれた。その動きは、スイス国立銀行からの移転により財政のかなりの部分を賄っているスイス各州が、同銀行が損失を計上する事態を未然に防ごうとするものであった。「金イニシアチブ」は否決されたものの、1月にはユーロの減価により議論が再燃し、怒った各州の指導者によって中央銀行の独立

    中央銀行は最終損益を気にすべきではない - himaginary’s diary
  • 誰がために壁は倒れた? 資本主義への移行の収支決算 - himaginary’s diary

    というエントリをベルリンの壁崩壊25周年を機にブランコ・ミラノヴィッチが書いている(原題は「For Whom the Wall Fell? A balance-sheet of transition to capitalism」;H/T Mostly Economics)。 そのエントリで彼は、一人当たり実質GDPの購買力平価による比較もしくはその成長率に基づき、資主義への移行国を以下の4つのグループに区分けしている。 明確な失敗国 2013年<1990年 タジキスタン、モルドバ、ウクライナ、キルギス、グルジア、ボスニア、セルビア 相対的な失敗国 成長率<1.7% マケドニア、クロアチア、ロシア、ハンガリー 追随国 1.7%<成長率<2% チェコ、スロベニア、トルクメニスタン、リトアニア、ルーマニア 成功国 2%<成長率 ウズベキスタン、ラトビア、ブルガリア、スロバキア、カザフスタン、ア

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  • 史上最大の略奪:如何にしてナチスは欧州の金を盗んだか - himaginary’s diary

    「パリスの審判 カリフォルニア・ワインVSフランス・ワイン」の著者 ジョージ・M・テイバーが以下のを上梓し、その内容が表題のKnowledge@Wharton記事で紹介されている(原題は「History’s Biggest Robbery: How the Nazis Stole Europe’s Gold」;H/T Mostly Economics)。 Chasing Gold: The Incredible Story of How the Nazis Stole Europe's Bullion 作者: George M. Taber出版社/メーカー: Pegasus Books発売日: 2014/12/15メディア: ハードカバーこの商品を含むブログ (1件) を見る 以下は記事からの引用。 The centerpiece of Schacht’s economic policy

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  • 米国の債務上限問題と日本の消費増税の違い - himaginary’s diary

    クルーグマンが「ケインズは徐々に勝利を収めつつある(Keynes Is Slowly Winning)」(邦訳)というエントリを先月末に書いたのに対し、タイラー・コーエンが「ケインズは徐々に敗北しつつ(勝利を収めつつ?)ある(Keynes is slowly losing (winning?))」という反論をMRブログで書いた。これにクルーグマンがサイモン・レン−ルイス経由で反応し、自分はケインズ経済学の主張の長所――それは常に絶大だった――ではなく世論での扱いについて書いたのだから、コーエンの反論は的外れで、間違った質問に対する間違った答えだ、と斬って捨てた。 一方、ノアピニオン氏もブルームバーグ論説でコーエンの反論に反応し、それにさらにAngry Bearでロバート・ワルドマンが反応した。コーエンの反論は15項目あったが、ノアピニオン氏はそのうちの特にケインズ経済学が俎上に乗った7項目

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  • 資本と富の違いと21世紀の民主主義 - himaginary’s diary

    ブランコ・ミラノヴィッチが、ピケティ理論の“パズル”に関するスティグリッツの論文についてコメントし、その概要をブログで報告している。 Stiglitz points out to several very important puzzles that cannot be easily accommodated in the current neoclassical framework: broadly constant rate of return despite massive capital deepening, rising share of capital incomes even if the production function studies tend to find elasticity of substitution between capital and labor

    資本と富の違いと21世紀の民主主義 - himaginary’s diary
    laislanopira
    laislanopira 2014/12/14
    "富裕層の需要の大半が、リビエラやマンハッタンの不動産や、古い絵画や、供給が固定された似たような贅沢品などの非生産的な資産に長期的に向かうならば、資本主義以前のシステムに逆戻り"
  • なぜ国家は企業のように考えられないのか? - himaginary’s diary

    先月半ば、リー・クアンユー行政大学院の学院長であるキショール・マブバニ(Kishore Mahbubani)がザ・タイムズ・オブ・インディア紙に寄稿し、表題の論説記事(原題は「Why can’t countries think like companies?」)で中印の連携を訴えている(H/T Mostly Economics)。 When the history of the 21st century is written and a list is made of the century's greatest missed opportunities, the visit of President Xi to India will probably be on it. No, the visit was not a failure. But it failed to seize the

    なぜ国家は企業のように考えられないのか? - himaginary’s diary
  • 消費税引き上げ論者の簡易モデル - himaginary’s diary

    をデロングが以下の3つの方程式で示している*1。 インフレ期待:    E(π) = π + δ(rD - σ) フィリップス曲線:  π = E(π) + β(u* - u) 金融政策:      r = r* + γ(u - u*) + θ(π - π*) ここでE(π)は期待インフレ率、πは現在のインフレ率、rは金利、Dは政府債務、σは基礎的財政収支の黒字、u*は自然失業率、uは実際の失業率、r*は自然利子率、π*は目標インフレ率、δ、β、γ、θはパラメータである。 第一式と第二式から、 u = u* + (δ/β)(rD - σ)        ・・・(1) となる。これと第三式から r = r* + (γδ/β)(rD - σ) + θ(π - π*) が導かれる。従って*2 r = [1/{1 - D(γδ/β)}][r* - (γδ/β)σ + θ(π - π*)] が金利の

    消費税引き上げ論者の簡易モデル - himaginary’s diary
  • それでも量的緩和は間違っていた - himaginary’s diary

    2010年11月15日付けのバーナンキ宛ての公開書簡(邦訳1、邦訳2)から4年が経ち、米経済が回復している現況――企業の債務は低下する一方で利益は最高益を記録し、失業率は書簡当時の9.8%から6.1%に低下*1、S&Pは2009年3月9日時点からほぼ3倍になった――を受けて、ブルームバーグが書簡の署名者にインタビューを敢行している(H/T クルーグマン[ブログ記事、論説])。署名者23人のうち、ロナルド・マッキノンはこの記事の掲載日の前日の10/1に亡くなったが*2、9人がインタビューに答えたという。9人とも書簡で示された立場を堅持したとの由。 ジム・グラント、Grant's Interest Rate Observer誌発行人、電話インタビュー: “People say, you guys are all wrong because you predicted inflation and

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  • 経済政策運営のためのマクロ経済学理論の再構築 - himaginary’s diary

    一昨日スティグリッツのNBER論文を紹介したが、以下はスティグリッツが9月にアップした別のNBER論文「Reconstructing Macroeconomic Theory to Manage Economic Policy」の要旨。 Macroeconomics has not done well in recent years: The standard models didn't predict the Great Recession; and even said it couldn't happen. After the bubble burst, the models did not predict the full consequences. The paper traces the failures to the attempts, beginning in the 197

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  • 買い物は、世界を救う。 - himaginary’s diary

    昨日エントリではののわ氏のツイートに触れたところ人にコメント欄にご降臨いただくという思わぬ栄誉に浴したが、最近注目を集めたののわ氏ツイートには以下のものがあった。 https://twitter.com/nonowa_keizai/status/514030009732714497:twitter ここでリンクされている図はこちらの公表資料からの引用と思われる。 ちなみに全産業活動指数は複数の指数を合成した指数なので、その構成各指数について変化の寄与度を求めることができる。以下は試しに季節調整済指数の前月差ならびに原指数の前年比について、そうした寄与度分解を行ったものである(なお、四捨五入のため寄与度の合計は必ずしも元の指数と一致しない。季節調整済指数については構成指数の加法性が成立しないため、その不一致度が大きくなる)。 これを見ると、第3次活動指数がマイナスの主因だったことが分かる。

    買い物は、世界を救う。 - himaginary’s diary
    laislanopira
    laislanopira 2014/09/25
    “人々が買い物をしなくなったことが、消費増税後の全産業活動停滞の主因というわけだ。”
  • 様々なマクロ経済学の世迷言に騙されないための素朴なケインズ経済学 - himaginary’s diary

    というエントリをデロングが書いている(原題は「Naive Keynesianism to Keep You from Believing Macroeconomic Idiocy of Various Kinds: A Useful Graph for Jackson Hole Weekend: Thursday Focus for August 21, 2014」)。そこでデロングは、輸出、企業の設備・ソフトウエア投資、政府購買、住宅建設という四大需要項目を、潜在GDPにおける比率の直近の景気循環のピークからの乖離として描画した以下の図を示している。 この図からデロングは以下の9つの教訓を引き出している*1 雇用が低迷し賃金が伸びないのは、米国の企業や労働者の世界市場での競争力が低いためだ、という議論は、輸出のシェアの伸びと矛盾する。 雇用が低迷し賃金が伸びないのは、米国企業が「不確実性

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  • スティグリッツ経済学を生み出したもの - himaginary’s diary

    昨日紹介した論説の冒頭でスティグリッツは、自らの出身地の状況と市場中心主義的な経済学との落差が、市場の欠陥に焦点を当てた経済学を生み出すきっかけになった、と語っている。 I hadn’t realized when I was growing up in Gary, Indiana, an industrial town on the southern shore of Lake Michigan plagued by discrimination, poverty and bouts of high unemployment, that I was living in the golden era of capitalism. ... Smokestacks poured poisons into the air. Periodic layoffs left many families

    スティグリッツ経済学を生み出したもの - himaginary’s diary
  • 突然資源国になったらどうすべきか? - himaginary’s diary

    ある国で石油資源が見つかったことをエネルギー相が財務相に知らせる、という仮想的な状況を描いたエントリがIMFブログに上がっている(H/T Mostly Economics)。著者はSanjeev GuptaとEnrique Floresで、2人がAlex Segura-Ubiergoと共に書いたIMFスタッフディスカッションノートの解説記事になっている。 記事では、資源の呪いを回避できるような堅牢な制度が確立していない国では、資源からの収入を国民に直接配ってしまえば良い、と主張するXavier Sala-i-MartinとArvind Subramanianの論文を俎上に載せている。同論文の主旨は、直接分配のメカニズムによって非効率ないし腐敗した予算制度が迂回されるほか、分配した資源からの収入が税金を通じて政府に再吸収されれば、その使い道についての政府の説明責任を求める国民の声が高まる、と

    突然資源国になったらどうすべきか? - himaginary’s diary
  • 世界の経済的不平等について知っておくべき10のこと - himaginary’s diary

    をKathleen Geierというシカゴ在住のライターが自ブログで挙げている(H/T Economist's View)。 世界経済の不平等を計測するのは非常に困難 各国が実施する国別の調査はあるが、世界規模の統一的な所得に関する家計調査は存在しない。 国別調査は質や質問や手法が標準化されていない。さらに以下の問題がある: 何が所得かという問題。例: 自作農の所得をどう記録するか 医療保険(ある国では無料の皆保険、ある国では被雇用者の民間給付パッケージ)を所得として扱うかどうか 人々は得てして所得を正確に記憶していない。 所得形態が定期的に支払われる賃金でなければ無理からぬこと 富裕層貧困層も正しい値が得られない傾向がある。 多くの調査では開示所得に上限制約を掛けるため(topcoding*1)、富裕層の所得を過小評価する 異なる国の家計調査をつき合わせる際の通貨換算の問題。 経済的不

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  • ミネアポリス連銀の調査部門で何が起きているのか? - himaginary’s diary

    11/23エントリで触れたミネアポリス連銀の粛清騒動について、デロングがエコノブロゴスフィアの反応を自ブログでまとめている。ただ、そこでデロングがリンクした5つのエントリのうち、3つはむしろ粛清された側の非を問う内容になっており、追放ないし異動させられたエコノミストのキーホーらは、“被害者”のはずなのにバッシングされるという市川海老蔵状態になっている。 デロング自身もエントリのタイトルを「いや、ミネアポリス連銀調査部門で何が起きているのか知らないけれど…(No, I Do Not Know What Is Going on at Minneapolis Fed Research...)」と題しつつも、続けて I do think that the monoculture they had developed was unhealthy--it did leave them complete

    ミネアポリス連銀の調査部門で何が起きているのか? - himaginary’s diary