ついに菅直人首相が消費税増税に言及した。自民党が参院選の公約に盛り込んだ「消費税10%」を参考にして、今年度中に、逆進性の対策を含む消費税率改革案をまとめる方針を表明したのである。朝日新聞の論説室は、昨夜は勝利の美酒に酔ったに違いない。今朝の紙面には、「『消費税タブー』を超えて」と題する、勝ち誇った社説が掲載されている。朝日新聞の「完全勝利」だ。日経、読売、毎日、産経など主要新聞社はみな同じ立場の主張をしているが、もっとも過激に議論を引っ張ったのが朝日新聞である。 菅直人首相に近い経済学者として、神野直彦、金子勝、小野善康氏らが挙げられるが、いずれも現在の経済学の主流には属さない。神野氏は著書で「私の思想は、異端である」と書き、財務官僚は「小野氏の学説は少数派」だと菅首相に言い、金子氏に至っては「経済学界のアルカイダ」を自称する。財政の大きな役割の一つとして、所得の再分配があるが、再分配を