冒頭で描かれた肉子ちゃん、波乱万丈の半生。そういった物語とは打って変わり、本編で描かれたのは徹底した生活風景とその中で巻き起こる感情の起伏、そして関係の変化でした。特に多かったのは船内での母子生活。寝転んだり、料理をしたり、食べたり、トイレに行ったりと、それこそ中盤で語られたようなとても普遍的な、けれどそれこそが幸福であるような生活風景を描くことに、本作はとても拘っていたように思います。それは肉子ちゃんの少し大袈裟で、大きな弧を描くよう動く一つ一つの芝居からも顕著に表れていました。ある意味エフェクトっぽく、ある意味で人間臭い。パート毎で描かれたアニメーターの方々の特色はあるにせよ、基本的にはそういった軸を持って彼女の芝居は描かれていたはずです。リアル系の芝居というよりはケレン味のあるデフォルメの効いたフォルムと動き。ちょっと下品に映る瞬間もありますが、でも生活って本来そういうものだよねと思