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ブックマーク / shirooo305.hatenablog.com (10)

  • 『漁港の肉子ちゃん』の芝居・身体性について - Paradism

    冒頭で描かれた肉子ちゃん、波乱万丈の半生。そういった物語とは打って変わり、編で描かれたのは徹底した生活風景とその中で巻き起こる感情の起伏、そして関係の変化でした。特に多かったのは船内での母子生活。寝転んだり、料理をしたり、べたり、トイレに行ったりと、それこそ中盤で語られたようなとても普遍的な、けれどそれこそが幸福であるような生活風景を描くことに、作はとても拘っていたように思います。それは肉子ちゃんの少し大袈裟で、大きな弧を描くよう動く一つ一つの芝居からも顕著に表れていました。ある意味エフェクトっぽく、ある意味で人間臭い。パート毎で描かれたアニメーターの方々の特色はあるにせよ、基的にはそういった軸を持って彼女の芝居は描かれていたはずです。リアル系の芝居というよりはケレン味のあるデフォルメの効いたフォルムと動き。ちょっと下品に映る瞬間もありますが、でも生活って来そういうものだよねと思

    『漁港の肉子ちゃん』の芝居・身体性について - Paradism
  • 『呪いのワンピース』と『響け!ユーフォニアム』8話について - Paradism

    一度着てしまうとその身に不幸をもたらすワンピース。そんな代物に心奪われてしまう少女たちの群像劇を描いた作品が『呪いのワンピース』でした。今年になってようやく配信が開始された作品であり、監督・作画監督を木上益治さんが担当されていることを知っていたファンや作の制作に携わっていた京都アニメーションのファンの間では待ちに待ったと感じていた方も多いのではないでしょうか。 自分もその一人であり、とても楽しみにしていました。ただタイミングなどもあり公開からしばらく観ることが出来ていなかったのですが、つい先日ようやく視聴したのでその所感を書いていこうかなと思います。 まず目を引いたのは少女たちのアンニュイな表情でした。どこか遠くを見据える視線、情感のあるレイアウト、宙に浮かぶ想い。片肘をついたり細かい芝居づけも含め、どこまでも彼女たちの心情を伺っていくような表情の映し方には強く心を奪われました。 重たそ

    『呪いのワンピース』と『響け!ユーフォニアム』8話について - Paradism
  • 『HUGっと!プリキュア』16話の演出について - Paradism

    全てにおいて素晴らしいとしか言いようがなかった話ですが、まず最初に目を奪われたのは構図やレイアウトの良さでした。特に日常パートでの人物配置などは素晴らしく、それぞれの芝居や表情を一つの画面に乗せることで、その空間でのやり取りを楽しく生き生きと伝えてくれていました。一人一人にカメラを寄せ映していくことも出来たはずですが、そうはせずワンカットの中に個性的で豊かな芝居・表情を詰め込んでくれたことが序盤のやり取りの面白さにも繋がっていたはずです。 こういったカットも同様です。手前で面白いやり取りをしている二人を描きながら、その奥にもちゃんとほまれたちを映して彼女たちの反応を描く。些細な反応ですが、それと分かるくらいの距離感・絶妙な配置がとても巧く、彼女たちの関係性が見える空間と空気感を感じられるのがとても良いです。 今回のコンテを担当されたのは渡邊巧大さんですが、こういったレイアウト・構図は他の

    『HUGっと!プリキュア』16話の演出について - Paradism
  • 『リズと青い鳥』鎧塚みぞれの仕草、掴むことについて - Paradism

    みぞれが髪を掴む仕草が描かれたのは、劇中でおそらく12回程*1だったでしょうか。寡黙にして映像*2で語ることが主体とされた作にあって、彼女のこの癖は強く印象に残り、決して多くを語ろうとはしないみぞれ自身の感情を映すものとして重要な役割を果たしていました。足や手の芝居、瞼、眼球の動きにまで心情の変遷・動きを仮託していた今作ですが、冒頭から終盤まで物語の転換点となる場面で描かれたこの癖はその中でも特に強調されていたように思います。 ただその仕草が具体的にどういった感情を代弁していたのか、ということまではハッキリとは分からず、むしろその描き分けはぼんやりと感情の輪郭を描くに過ぎませんでした。なにかを言い淀むように髪に触れ、掴み、心の中に留める仕草。それは明確な心情が芝居から滲み出る類のものではなく、“なにかしらの感情・言葉を心の内側に抱いている” と感じ取ることが出来るだけの芝居であり、そんな

    『リズと青い鳥』鎧塚みぞれの仕草、掴むことについて - Paradism
  • 『リズと青い鳥』と微熱について - Paradism

    冒頭、鎧塚みぞれを中心に据えた描写から始まった作は徹底して内面を覗き込むような映像で構成されていました。浅い被写界深度、表情を伺うようなレイアウトの数々は言葉ではなく映像ですべてを物語るように繋がり、その瞬間瞬間にみぞれがなにを思い、考えているのかということを寡黙に語っているかのようでした。あらゆる芝居の機微に込められた情報量は言葉にするのも躊躇われるほどの多さと緻密さを誇り、彼女特有のアンニュイな表情も合わさることでより、みぞれの心情を深くそこに映し出していました。 しかし、転換期はみぞれが音大への進学を薦められ、パンフレットを受け取ったあとに訪れます。それまで一様にしてみぞれへ寄っていたカメラが希美を映し、彼女の心情にもそのフレームを寄せていくのです。ですが、それは作が『響け!ユーフォニアム』として描かれていた頃からなにも変わらずに続けてきた物語の分岐に他なりません。すべての登場人

    『リズと青い鳥』と微熱について - Paradism
  • 『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』1話の手の芝居と演出について - Paradism

    輪郭線や反射光・影の多さなど、これまでの京都アニメーション作品を振り返っても特筆して線量の多いデザインと言っても過言ではない今作ですが、その中でも特に印象に残ったのは手の芝居に関してでした。それも感情や想いがその手を動かしているよう感じられたものが多く、例えば冒頭でヴァイオレットが自問自答するシーンに合わせ描かれた芝居はそういった感情の表出がとても顕著だったと思います。 ぎゅっと胸元を押さえるような動き。言葉にできないものに触れようとする指先の加減。「心を持たない」と言われ、普段の表情も決して豊かとは言えないヴァイオレットですが、この芝居はそんな通説に反してとても感情的だったと思います。芝居自体は大袈裟なものではありませんが、「こういうの、なんと言うのでしょう」と語るヴァイオレットの言葉を体現するような手の動きがよりこの芝居を感情的なもの足らしめてくれていました。なにより、こういった芝居こ

    『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』1話の手の芝居と演出について - Paradism
  • 『宇宙よりも遠い場所』5話の演出について - Paradism

    南極へ旅立つマリの話から一転、めぐみの心情を多分に含んだ話へとシームレスに変遷する物語とフィルムの構成。すっと上手が入れ替わり、話の主体がマリからめぐみへと変化していたことをカット単位で寡黙に伝えてくれる巧さに心がざわつきました。二人の関係と向き合うことを強要するような横の構図がもたらす印象はとても強烈で、対立的。なによりゲーム機のコードをわざと引っかけたことや前話のCパート、遡れば意味深だったこれまでの彼女への映し方なども含め、今回の話はそうして彼女が溜め込んでいたものを直接的に映すことへ余り躊躇 (ためら) いがありませんでした。 淀みを含んだ感情。それを覆う壁。押し流すことが出来ない心の弱さ。フレーム内フレームで閉ざされた空間にめぐみを映したのも意図的で、マリとの距離感を感じさせる上、そこから想起されるものはやはり作の代名詞とも呼べるあの水たまりのカットに他なりません。それは普段の

    『宇宙よりも遠い場所』5話の演出について - Paradism
  • 『小林さんちのメイドラゴン』1話の演出と武本康弘さんについて - Paradism

    ドラゴンの少女トールが小林さんの家に訪問してからの一連のシークエンス。上手側に小林さんを置くことで物語は彼女を主体に据えるところから始まります。つまりトールを自分の家で雇うかどうかの選択によってこの物語は始まっていくといことです。逆にトールが下手側に立つことで彼女が小林さんにとっての試練であるかのような印象も受けます。扉が上手く被さる(少し家を出たところで止まっている)ことで、自身のパーソナルエリアを守るようなイメージも合わさり、彼女の来訪が小林さんにとっていかに突飛であったかということが強調されているようで面白いです。自宅に入ってからもどこか視線を外したりと芝居が丁寧。 小林さんが「無理なものは無理」と断ってからの見せ方も凄く良くて、天候がガラッと変ったかのように室内の明度・彩度を落として、陰影でキャラクターの感情やその場の雰囲気を表現する(画面をアンニュイにする)のは武さんらしくもあ

    『小林さんちのメイドラゴン』1話の演出と武本康弘さんについて - Paradism
  • アニメにおける腋描写の美学 - Parad_ism

    アニメ雑感人それぞれ趣味趣向というものはあるはずで、中でも局部的なフェティシズムに心擽られた経験があるという人は、そう少なくもないのではないでしょうか。それこそ例えれば、指先や踝(くるぶし)、首筋から襟足と多岐に渡るフェチポイント、そうした各所が魅せる輪郭線は人により時に美しく、また艶めかしくも映るもので、そうした女性特有のラインに胸をトキメかせた体験のある男性って結構多いと思うんです。 そして何を隠そう、私は 『腋』 が好きです。大好きと言っても過言ではないくらいに結構アニメ観てる時は腋の辺りを気にして観ています。けれどそうは言ってもただ画面に腋が映っていれば良いというものでも決してなく、そこには私なりの拘りとか美学みたいなものが少なからずあるわけで、それこそ乱雑な腋の魅せ方は余り好みではないですし、その善し悪しを決める境界の自論も簡潔に言ってしまえば以下のツイートに集約されてしまうのだ

    アニメにおける腋描写の美学 - Parad_ism
  • テレビアニメOP10選 2013 - Paradism

    もはや恒例になりつつありますが、今年もこの企画に参加させて頂きます。去年に比べて一週間程はやい選出になりますが、まぁこのぐらいの時期ならということで。例によって放映季順、他順不同、他意はありません。敬称略。視聴した作品からのみの選出で、選出基準も去年と同様 「とにかく好きなOP」 です。 俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる / Girlish Lover 2013年度序盤。冬期放送枠にして眩いほどの輝きを放った素晴らしいOP。乙女の会みんな仲良すぎでしょってくらいに観ていて凄く楽しい上に、とても癖になる楽曲とそこに映される映像の連弾、そしてその中で栄える彼女たちの可愛らしさに心底グッとくるなと。足先から指先までとても綺麗に、また可愛く映り込んでいる辺り、自らの自らによる自らのための演出ほんと極まってるなぁとか思います。真涼さんの変なポーズは不変のオアシス。 ビビッドレッド・オペレーション /

    テレビアニメOP10選 2013 - Paradism
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