3500万円――2018年パリのオークションで『鉄腕アトム』の原画“一枚”につけられた値段だ。2019年には大英博物館で国外最大規模のマンガ展「The Citi Exhibition Manga」が開催され、いまや海外のコレクターにとって、日本のマンガ原画は大金を払っても手に入れたい美術品として見られている。 日本のマンガ文化が世界に認められた一方で、これは貴重な文化遺産が国外に流出する危機とも言える。もし、マンガ原画がオークション等で海外に流出し続けたら? 原画はすべて“お金持ちのコレクション”に収まって、最悪の場合、行方不明になってしまうかもしれない。 「クールジャパン【※】でマンガを海外に売り込む一方で、自国の原画はないがしろにされている」。 海外からこのような印象を抱かれたとしても仕方がない。 ※クールジャパン 2010年、国内人口の縮小によって内需が減少したため、海外需要の獲得と