梅雨真っ只中のジメジメした昼下がり、えびす像の隣でニヤニヤ笑う女がいた。 わたしだ。 道行く人々が不審な顔でこちらを見ている。彼らは知らない。わたしがこの日「ブラジリアンワックス」をするためにわざわざ恵比寿まで来ていること、そして「ブラジリアンワックス」という未知のものを体験する恐怖を振り払うために無理やり笑っていることを。 「ブラジリアンワックス」とは、南米で流行っている整髪料のことではない。男性、女性のデリケートゾーンにワックスを塗り、ビリっとはがして抜くタイプの脱毛のことだ。 楽天ビューティの連載の話が来て一番に試したいと思ったのがこの「ブラジリアンワックス」だった。水着を着る予定もないし、そっち系が趣味の恋人がいるわけでもない。ただ『どれくらいの痛みがあるのか一度味わってみたい』という単純な好奇心からだ。何しろ大変デリケートな部分を脱毛するのだから、並大抵のものではないのだろう。