(文章・写真:塩谷舞) 20歳の頃から、自分の感性が美しいと思うものを、ずっと避けていた。 当時京都の芸大生だった私は、「美大生・クリエイターのための」と謳ったフリーマガジンを創刊し、関西を中心に日本各地に設置していた。仲間たちと頑張って作っていたので、読者からの反響も、広告掲載の依頼も、ありがたいことに沢山集まってきていて、なかなかの手応えがあった。発行部数は1万部。今思うと僅かな数字ではあるけれど、「美大生」という小さなマーケットに情報を届けるには、充分な数だった。 ある日、大学のゼミでそのフリーマガジンのことを発表していたとき、講師の方にこう言われた。 「美大生の……と掲げるならば、塩谷さんの趣味趣向に当てはまらない領域もしっかり載せてあげて欲しい。美大生の中には、ここに出てこないことをしている人もいるでしょう。たとえば保存修復とか……」 なるほど確かに、と思った。 当時20歳だった
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