ブックマーク / mmpolo.hatenadiary.com (27)

  • コバヤシ画廊の佐藤希展「樹々をぬけて」を見る - mmpoloの日記

    東京銀座のコバヤシ画廊で佐藤希展「樹々をぬけて」が開かれている(9月15日まで)。佐藤は1986年神奈川県生まれ、2011年武蔵野美術大学造形学部日画学科を卒業し、2013年同大学大学院造形研究科美術専攻日画コースを修了、2013-2017年武蔵野美術大学日画学科研究室助手を務めていた。 初個展は2015年銀座スルガ台画廊の「第49回レスポワール新人選抜展」、2012年に創画会展に初入選している。 佐藤の制作コンセプトを引用する。 川辺の風景、水面に落ちる光、滞留する空気と淀み。 それらを取り巻く情景から聞こえる音、感じる温度。 相反して、自分の中に抱く存在への不安感。 実像の風景を描きながら、それは心象風景でもある。 喪失と再生を繰り返すその風景を目の前に、目に見えない向こう側を想像し、 自身の根幹を探ることそのものの行為が、私の絵画のモチーフである。 大きな作品が3点展示されてい

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    lbtmplz 2018/09/11
  • Oギャラリー「選選展」の山田栞子がおもしろい - mmpoloの日記

    東京銀座のOギャラリーで「選選(よりより)展」が開かれている(2月26日まで)。選選展は毎年Oギャラリーのオーナー大野さんが独断で選ぶ新人展だ。今回は創形美術学校の3人の版画家が選ばれている。木版の小山希と小口木版の鈴木智深、それにリトグラフの山田栞子だ。ここでは山田栞子を紹介したい。山田は1995年、東京都神津島生まれ。現在創形美術学校3年に在学している。 山田の作品は変な動物を描いている。カタツムリ、タコ、魚、ニワトリだ。それらが複雑な形で覆われているように見える。このうち魚は「スイギョクカン」とタイトルがあり、これは何かとたずねると、山田の造語で水族館のような魚だとのこと。 来気持ちの悪いカタツムリは「ホテルマイマイ」と題されて、親の上に子が載り、子の上に孫が載っている。そしてその身体は小さな花で覆われている。 タコの身体も花で覆われ、腹には穴が開いていて、その中にアナゴやタツノオ

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    lbtmplz 2017/02/24
  • ブルガーコフ『犬の心臓・運命の卵』を読む - mmpoloの日記

    、 ブルガーコフ『犬の心臓・運命の卵』(新潮文庫)を読む。「Star Classics―名作新訳コレクション―」の1冊。このシリーズではグレアム・グリーン『情事の終り』も良かった。 ブルガーコフはソ連の作家だが長くソ連内では発禁だったという。ソ連の民主化ペレストロイカによってようやく発行され、『巨匠とマルガリータ』はベストセラーになり、ガルシア=マルケスはブルガーコフを師とあおいで20世紀最大の作家とみなしたという。 「犬の心臓」は、死んだ男の睾丸と脳下垂体を移植された野良犬が人間になって、様々な不行跡を行うというもの。人間になった犬は下品で好色でずるくてどうしようもない。これは革命によって権利を得たプロレタリアートへの風刺以外に読めそうもない。 「運命の卵」は、偶然発見された赤い光線を浴びた卵から孵化した両生類や爬虫類が、異常に大きく成長し繁殖力も旺盛になって暴れるという、これまたロシア

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    lbtmplz 2017/02/13
  • 本橋信宏『東京最後の異界 鶯谷』を読む - mmpoloの日記

    橋信宏『東京最後の異界 鶯谷』(宝島社)を読む。以前読んだ森川嘉一郎『趣都の誕生』(玄冬舎)の類だろうと思った。『趣都の誕生』は2003年に単行が発行されたもので、オタクの街としての秋葉原を紹介している。これが発行された10年前はまだ秋葉原にある会社に勤めていたので、この街について多少は知っているつもりでいたが、オタク関係の情報はほとんど知らなくてなかなか面白かった。『東京最後の異界 鶯谷』もその類だろうと思ったのだ。秋葉原と違って鶯谷がラブホテルの街だということは、昔勤めていた会社の健康保健組合が契約している健康診断をする病院が鶯谷のホテル街の外れにあったから、一応知らないではなかった。当にそれだけの知識だったが。 しかし書は実は過激な風俗の実態を紹介するものだった。鶯谷は現在デリヘルのメッカになっているという。デリヘルはデリバリーヘルスの略で派遣型風俗店、店舗を持たずに女の子を

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    lbtmplz 2017/01/29
    駅前の喫煙所でタバコ吸っている人が全員カタギではない雰囲気を醸し出していたのを思い出す
  • ギャラリーtの齊藤寛之個展「夢から覚める玩具」を見る - mmpoloの日記

    東京台東区浅草橋のギャラリーtで齊藤寛之個展「夢から覚める玩具」が開かれている(12月17日まで)。齊藤は1973年東京生まれ。1998年東京藝術大学美術学部彫刻家を卒業し、2000年に同大学大学院美術研究彫刻専攻を修了している。1999年にフタバ画廊で初個展、その後巷房などで個展を行っている。 画廊のホームページから、 展では、日の大工道具である鉋(かんな)の持ち手の木部に最小の彫刻を施し、船や飛行機などといった乗り物の玩具に見立てた、新作《Rocking Plane》を約250点陳列します。鉋の底部は、削られ丸みをおび揺り籠のように揺れ、不安定な現代社会を表現しています。また、鋭く光る金色の真鍮の刃は、日常の遊びの中に潜む痛みや傷を想起させます。見慣れた様相とは異なる、不均衡に変容した玩具の群像を是非この機会にご覧ください。 それにしても250点も展示するというのは相当な数だ。一つ

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    lbtmplz 2016/12/05
  • アートコンプレックスセンターの谷口ナツコ展を見る - mmpoloの日記

    東京新宿のアートコンプレックスセンターで谷口ナツコ展が開かれている(11月27日まで)。谷口は1968年北海道生まれ。今までギャラリー砂翁、デザインフェスタギャラリー、ヴァニラ画廊、スタジオ・ゾーン、アンド・ゾーン、ギャラリー・テオなどで個展を開き、また海外では香港、イタリア、台北、北京、シンガポール、アメリカなどのグループ展に参加している。クリスティーズにも出品され、国際的な画家となっている。今回2008年以来8年ぶりの個展となる。 (以下、部分) 谷口はトレーシングペーパーを円錐形にしたものに絵具を充填し、先端の穴から絵具を絞り出し、凸状の点描法で描いている。今回一番大きな作品は左右4m、天地2mもある。この大きさを点描で描いているのだ。 さらに原色を多用し、その色彩の見事さと点描で描かれたイメージが画面を覆いつくす画風はほとんど他に類を見ない。天才画家と言っていいだろう。 谷口は北海

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    lbtmplz 2016/11/18
  • 『マルセル・デュシャンとアメリカ』を読む - mmpoloの日記

    平芳幸浩『マルセル・デュシャンとアメリカ』(ナカニシヤ出版)を読む。副題が「戦後アメリカ美術の進展とデュシャン受容の変遷」というもの。デュシャン論でありながら作品論には踏み込まない。まさに副題どおりの内容。キュビストとしてのデュシャン、シュルレアリスムとデュシャン、ネオ・ダダとデュシャン、フルクサス、ポップ・アートとレディメイド、コンセプトアート等々、目次の一部を抜き出した。 キュビストとしてのデュシャンでは「階段を下りる裸体No.2」が有名だ。「泉」と名付けられた男性用便器や「瓶乾燥器」などのレディメイド作品。レディメイド以降、芸術は判断と命名の行為となった。そしてデュシャンの代表作ともいえる通称「大ガラス」=「花嫁は彼女の独身者たちによって裸にされて、さえも」の制作。戦後の沈黙と最後の大作「与えられたとせよ 1.落ちる水 2.照明用ガス」の衝撃! デュシャンの作品の謎。 アメリカの様々

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    lbtmplz 2016/11/18
  • ギャルリー東京ユマニテの飯嶋桃代展「―ものはら―」を見る - mmpoloの日記

    東京京橋のギャルリー東京ユマニテで飯嶋桃代展「―ものはら―」が開かれている(11月19日まで)。 飯嶋は1982年、神奈川県生まれ。2006年に女子美術大学美術学科立体アート専攻を卒業。2008年に同大学大学院修士課程美術専攻立体芸術研究領域を修了し、2011年に同大学大学院博士後期課程美術専攻立体芸術研究分野を修了している。 2006年に銀座のpepper's galleryで初個展、以後ギャルリー東京ユマニテ、銀座gallery女子美、マキイマサルファインアーツ、コバヤシ画廊、ギャラリーαM、資生堂ギャラリーなどで個展を開いている。 ギャルリー東京ユマニテの会場に入ってみる。入り口の前に木の壁が作られている。壁に隙間が作られていて、会場の中を覗き見ることができる。壁の右側が開かれていて中に入ることができる。奥にテーブルがあり、その上にたくさんの茶碗が載っている。テーブルの半分には何も置

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    lbtmplz 2016/11/11
  • うしお画廊の井上敬一展を見る - mmpoloの日記

    東京銀座のうしお画廊で井上敬一展が開かれている(10月15日まで)。井上は1947年、香川県生まれ。1980年に福岡教育大学美術研究科を修了している。 ここ何年か銀座のみゆき画廊で発表していたが、みゆき画廊が閉じてしまったのでその展開先であるうしお画廊での発表となった。 一見子どもが描いた落書きのような人物像だが、不思議な魅力がある。独特な色彩を持っている画家だが、今年はその色彩を封印しているかのように黒い絵が多い。何人かの裸婦が重なり合って描かれていたり、変な顔が描かれていたり、画家の興味の持ち方がユニークだ。変な顔と書きながら、どこかで見かけたような顔もある。人間の顔ってこんなに変だったのかもしれない。 次回はぜひうしお画廊の画廊主をモデルに描いてもらいたい。どんな顔が描かれるのか想像するだけで楽しい。 ・ 井上敬一展 2016年10月10日(月)−10月15日(土) 11:30−19

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    lbtmplz 2016/10/12
  • eitoeikoの岡本光博展「69」がおもしろい - mmpoloの日記

    東京新宿区神楽坂のeitoeikoで岡光博展「69」が開かれている(10月8日まで)。これがおもしろい。岡は1968年、京都市生まれ。1994年に滋賀大学大学院教育学科を卒業している。その後1994〜96年、ニューヨークのアート・スチューデンツ・リーグに学び、1997〜99年、CCA北九州リサーチプログラムに参加。2001〜04年、ドイツのレジデンスを中心にインド、スペイン等で活動する。2004年以降、沖縄と台湾を拠点に活動し、2007年から京都に拠点を移動している。2012年、アーティスト・ラン・ギャラリーKUNST ARTSを京都に開廊した。eitoeikoでの個展は一昨年に続いて今回が2度目となる。 まず親子のぬいぐるみみたいなのが2体立っている。その後ろに大きな写真があり、それは福島県の汚染された残土を入れて積み上げてあるフレコンバッグだ。それに目が描かれていて、するとこのぬい

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    lbtmplz 2016/10/02
  • 塩田千春展「鍵のかかった部屋」を見る - mmpoloの日記

    横浜市の神奈川芸術劇場で塩田千春展「鍵のかかった部屋」が開かれている(10月10日まで)。会場は少し薄暗くなっていて、大きな部屋一面に天井から周囲まで赤い毛糸が張り巡らされている。 入口に近い半分の空間には5つの扉が設置されている。その扉の周囲も赤い毛糸が張り巡らされている。その空間の中に入ると赤い毛糸に取り囲まれて、何か充実した豊かな気分になる。 奥の空間も同じく赤い毛糸が張り巡らされているが、こちらは天井からほとんど無数の古びた鍵が吊り下げられている。とにかくきれいな空間なのだ。 塩田は1996年の秋山画廊での初個展から空間一杯に糸を張り巡らすインスタレーションを重ねてきた。それは何を表しているのか。おそらく最初は糸は束縛を表していたのではないだろうか。家族などからの束縛。それが次第に展開されていって、束縛でもあり絆でもあるというアンビバレンツなものに変わっていったのではないだろうか。

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    lbtmplz 2016/10/02
  • 竹田青嗣『哲学は資本主義を変えられるか』を読む - mmpoloの日記

    竹田青嗣『哲学は資主義を変えられるか』(角川ソフィア文庫)を読む。副題が「ヘーゲル哲学再考」とある。角川ソフィア文庫の解説から、 大量生産、大量消費、大量廃棄を特徴とする現行の資主義は、格差の拡大、資源と環境の限界を生んだ。この矛盾を克服する手がかりは、近代社会の根理念を作った、ホッブス、ルソー、ヘーゲルの近代哲学にある。国家=権力の廃絶ではなく、人民権力=市民国家を成立させることで、万人の人間的「自由」を実現する。今、これをいかに国家間へ、世界大の原理へと拡大できるか、哲学的観点からわかりやすく考察する。近代哲学、とりわけヘーゲルは「自由の相互承認」という重要概念を示した。こうした観点から、誤解にさらされてきた近代社会の質を明らかにし、巨大な矛盾を生む現代資主義をどう修正すべきか、その原理を探る。 書は2009年に『人間の未来』という題名でちくま新書として発行されていた。その

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    lbtmplz 2016/08/04
  • ギャラリー58の松見知明展を見る - mmpoloの日記

    東京銀座のギャラリー58で松見知明展が開かれている(8月6日まで)。松見は1984年、福井県生まれ。2010年に福井大学教育地域科学部美術教育サブコースを卒業し、2012年に同大学大学院教科教育専修美術専攻を修了している。初個展は2011年にこのギャラリー58で行って、大きな木彫作品を展示した。それは少しヘンリー・ムーアにも似て、横たわる人を木で作っていたが、顔のところに大きな口があった。口が顔なのだった。 今回も大きな容器のようなものを展示しているが、その容器の口が生き物の口にも見える。擬人化というか擬物化というかそんな印象を持った。カタログに松見のテキストが載っている。 私は、自身の存在をこの世の無数の生きものたちの一つと考えたとき、この身体でいることが不思議だったり、怖かったりする。でも、その感覚になることが、外の世界の当を知る手がかりになると期待している。不安に似た気持ちと少しの

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    lbtmplz 2016/07/29
  • コバヤシ画廊の村上早展がとてもいい - mmpoloの日記

    東京銀座のコバヤシ画廊で村上早展が開かれている(8月6日まで)。「画廊からの発言−新世代への視点2016」でコバヤシ画廊が選んだのが、まだ若い村上だ。彼女は1992年群馬県生まれ。2014年に武蔵野美術大学造形学部油絵学科版画選考を卒業し、2016年同大学大学院修士課程版画コースを修了、現在同大学院博士後期課程に在学中だという。 今回が初個展。しかし、2015年に「FACE展2015損保ジャパン日興亜美術賞展」優秀賞や「シェル美術賞展」入選、また「山鼎版画大賞展」大賞受賞など、輝かしい受賞歴を誇っている。 村上は銅版画を作っているが、カタログのテキストに次のように書いている。 人は誰しも生まれ育っていく中で様々なものに出会い影響を受け、形作られていく。その中でも幼児の記憶は特別で、忘れていても心が覚えている。自身から抽出したモチーフを物語に孕ませ、銅の版に傷として表す。私にとって版は「

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    lbtmplz 2016/07/27
  • 佐藤万絵子展「窓枠を押しつぶせ空」を見る - mmpoloの日記

    東京銀座のなびす画廊で佐藤万絵子展「窓枠を押しつぶせ空」が開かれている(8月6日まで)。「画廊からの発言−新世代への視点2016」でなびす画廊が選んだ作家が佐藤万絵子だ。佐藤は1975年、秋田県生まれ。1998年に武蔵野美術大学油絵学科を卒業し、2000年に同大学大学院造形研究科美術専攻油絵コースを修了している。2001年にOギャラリーTOP・Sで初個展、以来スペースKobo & TomoやαMプロジェクトのASK?、ARATANIURANOなど十数回の個展を行い、今年もアサヒ・アートスクエアで大きな個展を行った。 私は佐藤の熱心な観客ではなかったが、それでも何回かは個展やグループ展を見てきた。 さて、なびす画廊に足を踏み入れると、目の前に拡がっているのは何だろう。ギャラリー一杯に何だか片付けられていないような乱雑な風景が拡がっている。しかし、これが佐藤のいつもの展示なのだ。描き殴ったよう

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    lbtmplz 2016/07/27
  • グレッグ・イーガン『TAP』を読む - mmpoloの日記

    グレッグ・イーガン『TAP』(河出文庫)を読む。編訳者の山岸真があとがきで書いている。 ……〈SFマガジン〉創刊700号記念のオールタイム・ベスト投票(2014年7月号発表)では、海外作家部門で第1位、海外短篇部門で「しあわせの理由」が第2位になったのをはじめ、長篇・短篇あわせて多くのイーガン作品が上位に名をつらねた。1990年代以降に頭角をあらわした作家としては、テッド・チャンとともに突出した高評価であり、このふたりを現役最高のSF作家とする声もある。ことにハードSFと呼ばれるタイプの作品に関しては、いまやイーガンが英語圏での第1人者といっていい。 書は10の中短篇からなっている。しかし、上記引用に続いて山岸が書くように、「書の収録作に、”ガチガチのハードSF”はない」。世にも奇妙な物語とかホラーとかに分類されるような作品が並べられている。イーガン得意のハードSFではないので、これで

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  • アンドーギャラリーで中沢研展を見る - mmpoloの日記

    東京江東区の木場公園近くのアンドーギャラリーで中沢研展が開かれている(8月6日まで)。中沢は1970年東京生まれ、1994年に多摩美術大学大学院美術研究科絵画専攻を修了している。1992年にINAXギャラリー2で個展を開いた後、ギャラリー現やギャラリー山口などで個展を続け、最近はこのアンドーギャラリーで個展を繰り返している。 今回は昨年まで展開してきた白く塗られた木と針金を組み合わせたインスタレーションのシリーズでありながら、高さがきわめて低いことが異なっている。今まで徐々に背が高くなっていて、昨年は天井近くまであった高さが、今年は30センチほどになっている。すると、見る者はそれらを俯瞰することになる。 コの字型に折り曲げられた針金が白く塗られた木材を挟んで立っている。針金は少し曲がっているので頼りなく感じられる。その針金2、または3で木材を支えている。そのユニット(?)が画廊全体に4

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    lbtmplz 2016/07/19
  • 『自選 大岡信詩集』を読む - mmpoloの日記

    『自選 大岡信詩集』(岩波文庫)を読む。とても巧い詩人だ。十代からすでに優れた詩を書いている。とくに修辞の技巧が群を抜いている。シュールレアリスムの手法を自家薬籠中のものにしている。イメージが大胆に飛躍する。 大岡は美しい娘を歌う。青春の恋を歌い上げる。解説で三浦雅士が書いている。 1960年代に20歳前後だったものの実感としていえば、大岡は、鮎川信夫、吉隆明と並ぶ、詩壇の指南車にほかならなかった。鮎川、吉が多かれ少なかれ政治的であったのに対して、大岡は非政治的であり、芸術派の代表にほかならなかった。鮎川、吉が詩人の戦争責任を問うたとすれば、大岡は詩人の芸術上の責任を問うたのである。 大岡に近い詩人を挙げるとすれば、谷川俊太郎や清岡卓行を思い浮かべる。日常的なものを歌う点で谷川が近く、恋愛を歌うところが清岡と共通するだろう。ただ谷川のテーマは大岡より広く、清岡の詩はもっと内臓深く刺さ

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    lbtmplz 2016/07/08
  • いしいひさいち『現代思想の遭難者たち』がおもしろい - mmpoloの日記

    いしいひさいち『現代思想の遭難者たち』(講談社学術文庫)を読む。これがとてもおもしろい。1990年代後半に講談社から『現代思想の冒険者たち』全31巻が刊行された。ハイデガーから始まり、フッサール、ウィトゲンシュタイン、カフカ、ニーチェ、マルクス、フロイト、ユングなど、またバルト、フーコー、アドルノ、クリスティヴァなど当時の最先端の哲学者、思想家を集大成した意欲的な現代思想叢書だった。その月報に連載されたマンガと解説をまとめて2002年に単行にしたもの。2006年に増補版が出て、今回その増補版を文庫化している。 きわめて難解な哲学をいしいひさいちが面白おかしくマンガにしている。編集部が適切なコメントを付けているが、それも含めてとてもよく出来ている。たぶん100メートル離れたところから見たその哲学者の面影といった程度以上に理解できるのじゃないだろうか。当時この単行を購入して読み、31巻のう

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    lbtmplz 2016/06/21
    これ傑作だよなぁ
  • 無人島プロダクションの八木良太展「メタ考古学」を見る - mmpoloの日記

    東京江東区の無人島プロダクションで八木良太展「メタ考古学」が開かれている(6月26日まで)。八木は1980年、愛媛県生まれ。2003年に京都造形芸術大学空間絵隠出デザイン学科を卒業している。今まで無人島プロダクションで何度も個展を開いている。 ギャラリーのホームページから、 八木はこれまで音や言葉、記録媒体をテーマに数々のインスタレーション作品を制作してきました。作品の中にはアナログレコードや色調解析アプリケーションなど古今のテクノロジーを使った作品も多くあります。/その八木が、なぜ今考古学か。/八木はこう言いました。/「現代においては、過去を考えることが、未来を考えることよりも、より自由な気がする」と。 ここ最近、埋蔵文化財などを実際に目にし、世界考古学会議のためのプレディスカッションなどにも参加して学者たちの考えにふれていくうちに、八木は古代の文明、文化や生活に思いをはせることによって

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    lbtmplz 2016/06/18