先日閉幕したアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議では、アジア太平洋自由貿易圏構想(FTAAP:Free Trade Area of the Asia-Pacific)について、可能な限り早期の実現を目指すとした首脳宣言を採択した。 自由貿易というと、海外製品の輸入にさらされるなど直接の利害関係がある人は猛烈に反対するが、一国全体でみれば、マイナスを補ってもプラスのほうが大きい。これは歴史からも経済理論としても知られていることで、そのため常に自由貿易は外交課題になっている。 同時に、自由貿易は、国が権益を拡大したいときにもしばしば用いられる。というのは、経済的結び付きの強さと軍事的結び付きの強さとは比例するからだ。それが最も顕著に現れているのが、欧州連合(EU・1958年設立)だ。 英国やスウェーデンなど、統一通貨ユーロを導入していない国もあるが、導入国同士は完全無関税、非導入のEU