『マジシャン(1)』(秋田書店) ――西暦を確認したくなるほど時代錯誤なセリフ、常識というハードルを優雅に飛び越えた設定、凡人を置いてけぼりにするトリッキーなストーリー展開。少女マンガ史にさんぜんと輝く「迷」作を、ひもといていきます。 今はあまり見かけないけど、昔は少女マンガ界にはホラーものが結構あった。「呪いのシリーズ」の曽祢まさことか、「りぼん」(集英社)でギャグマンガを描いてたのに、いつしかホラー作家になっちゃった坂東江利子とか、楳図かずおが「少女フレンド」(講談社)で連載していたこともある。 中でも、恐らくアラフォー以上に最も人気があったのは、江戸川乱歩や横溝正史を原作とした『黒とかげ』『ドクターGの島』『血まみれ観音』(いずれも講談社)などを描いた高階良子でしょう。乱歩のあの湿った空気を見事に再現していて、東京タワーの蝋人形館や小人のじいさんといった薄気味悪いムードを漂よわせつつ
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