連載03【不安の正体――アベノミクスの是非を問う】 ▼実質賃金の低下は必然 テレビや新聞などでアベノミクスが批判される際に、必ずと言っていい程出てくるキーワードが「実質賃金」です。実質賃金とは、我々が実際に受け取る名目上の賃金(名目賃金)から物価の変動の影響を取り除いたものです。 例えば、月収が10万円から11万円に10%増えたとします。しかし、この年の物価が20%上がってしまうと、毎月10万円かかっていた生活費が12万円も必要になってしまいます。こうなると、給料は1万円増えたものの、実質的には1万円の給料が減ったことと同じになります。これが実質賃金の低下です。逆に給料が下がってもそれ以上の割合で物価が下がると、実質的に国民の購買力は増えたことになるので、実質賃金は上昇したことになります。 テレビなどでは「アベノミクスによって国民の所得は上昇しているかもしれないが、その分物価が上がっている